サモンナイト3“剣製の魔術師”第二十二


「狭間の領域」のファリエルさんの居る祠の方に行くと、フレイズさんが居る。

「ファルゼン様に御用でしたら、私にお願いします。
今、あの方は休息中なので。」

今、彼女は休息中か。

「休息中ですか?」

と不思議そうにするアティさん。

「我等、サプレスの者はこの世界で、存在する為に、多量のマナ(魔力)を必要とするのです。
護人と言う役目がら、ファルゼン様は特に消耗が激しい。
ゆえに、日に何度か休息してもらってるのですよ。」

確かに、今の彼女は幽霊だ。

体力は精神と直結してるし、甲冑で動いているだけで魔力を消費するらしいからな・・・。

・・・・遠坂なら魔力を宝石に溜めて、乾電池代わりに使えるんだがなあ。

生憎、俺はできないし・・・。

「天使はどうなんです?
やっぱり、同じなんですか?」

納得しつつ、問い返すアティさん。

「消耗するのは同じです・・・・ですが、あの方は生来があの体では・・・。」

言い難そうに答える、フレイズさん。

困った顔をして、俺の方をチラッと見ている。

「あの巨大な鎧なんですから、消耗も大きいんですよ、きっと。」

フレイズさんの言葉に、挟む様に俺は言葉を出した。

「なるほど・・・。
じゃあ、また来ますね。」

アティさんは納得して、祠から出る。

「・・・・シロウさん、助かりました。」

ホッとした顔で、俺に言うフレイズさん。

でもどうして、もっと話題を逸らさないんですか?

「すいません、私は天使なので、嘘をつく事が下手なのです。」

なるほど。

「で、シロウさんはどう言った用事で、此方に?」

「あ、銃の販売許可について、話があったのですが。」

詳しい話は、夜にでもと言うと「解りました、ファリエル様にお伝えしておきます。」との返事。

よし、これで一段落だなっと思い、祠の外に出ようとすると、フレイズさんに「ファリエル様のこと、よろしくお願いします。」と言われてしまった。

・・・・むう?

祠の外に出ると、アティさんが待っていた。

「それでは帰りましょうか?」

と俺にアティさんが話しかけた瞬間。

光と共に何かが落ちる音が聞こえる。

「雷!?」

どうやら、その様ですね?

・・・て、あれ?空は晴れているよな・・・?

「おかしいですね?」

アティさんも空を見上げて首を振る。

ピカ、ドーーーーーン!!

うわ!?また落ちたぞ!?

・・・不味いな、木に落ちたら火事になってしまうな・・・。

「行って見ましょう!」

アティさんも同じ考えに行き着いたらしい。

二人で雷が落ちている場所に行くと、其処には一匹の召還獣が涙を流しながら、雷を落としていた。

「ゲレ、ゲレッ・・・・ゲレエエェェ〜〜ン!!」

ドカーーーーーーーン!!!!

危ないなあ・・・、でもどうして、泣いているんだろう?

「ゲック・・・ゲック・・・・ゲッレエエェェ〜〜ン!!」

ドカーーーーーーーーーン!!!!

とにかく止めさせないと!!

そう思い、まずアティさんが話しかけるが・・・。

「ゲレレエエエエン!!」

・・・・話が通じない・・・。

むう・・・、こう言う時は、フレイズさんに頼んでみるか、今は祠に居ると思うし。

っと言うわけで、俺たちは急いでフレイズさんの所に戻って、鳴いている召還獣(タケシーって言うらしい)の所に来てもらった。

「なるほど、彼がそうですか。」

話せますか?

「ええ、サプレスの雷精霊ですからね、大丈夫です。」

じゃあ、お願いします。

「解りました。」

早速会話をしだす。フレイズさん。

「○△□×?」

何を話してるかさっぱり解らん・・・・。

しかも発音自体変だし・・・。

「ゲレ!?ゲレゲ!ゲレレレ・・・。」

しかも通じてる・・・。

ほうけた顔をする俺と、眉をひそめてムウっという感じのアティさん。

「お待たせしました。」

会話が終わり、俺たちのところに来るフレイズさん。

「で、どうして泣いていたんですか?」

とアティさんがフレイズさんに質問する。

「どうやら、仲間とはぐれてしまったようですね。」

「迷子ですか・・・。」

呟くアティさん。

「ゲレレレ・・・・・。」

寂しそうに佇むタケシー。

「いえ、ただの迷子ではありません。」

え?

どう言う事です?フレイズさん?

「どうやら、彼等が暮らしていた場所を他の召還獣が、襲ったようです。」

「なん「だって!?「ですって!?」」

フレイズさんの答えに、思わず声を荒げる俺たち。

「仲間の事が心配で、如何したら良いか解らず、泣いていたようですが・・・、助けを求められたからには、見過ごせません、そいつらを追い払ってきますよ。」

とフレイズさん。

「だったら、皆で助けに行かないと!」

俺もアティさんと同じ意見だ。

「お気持ちは大変に嬉しいのですが、これは私の仕事です。
貴方達が、その手を煩わせる必要はありません。」

やんわりと断るフレイズさん。

「そんな!?」

「心配は無用です!この位ならば私一人でも、充分に戦えますから。
それでは、失礼!」

アティさんの声を無視し、羽を広げて飛び立つフレイズさん。

アレ系(金髪碧眼)の人って人の言う事、聞かないのか!?

ともかく、アティさん、追いかけましょう。

「そうですね。」

俺たちは、フレイズさんが飛んでいった方角に向かって走り出した。

(続く)





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