サモンナイト3“剣製の魔術師”第七話


そう言えば、俺についてヤードさんに相談しようと思っていたんだっけ。

 

そう思って、俺はヤードさんを探した。

 

いたいた、甲板でスカーレルとアティさんと一緒に居るぞ。

 

「すいません、私の配慮が足らずに・・・。」

 

・・・まだ謝ってる。

 

「気にしないでください、あの子達だって、本当は解っているはずです。

誰のせいでもないって。」

 

っとアティさん

 

「しっかし、センセとシロウのお陰で助かったわ。」

 

と俺の方を見るスカーレル。

 

「シロウさん、居たんですか?」

 

「すいません、立ち聞きするつもりは無かったんですが。」

 

すまなそうにする俺に、首を横に振る3人。

 

「・・・まあ、話は戻るけどヤードってね、昔から要領が悪くってね。」

 

そのスカーレルに

 

「な!?スカーレル!そんな、昔の事は関係ないでしょう!?」

 

っと慌てて言い返すヤードさん。

 

もしかして・・・、遠坂と同じで、うっかり属性があるんですか?

 

「お二人は、昔からのお知り合いなんですか?」

 

そういえば、そうだろうな。

 

「んー、まあね、ちっちゃかった時に一寸ね。

でもまさか、ばったり路地裏で再開するとは、夢にも思わなかったわ。」

 

偶然?

 

「倒れていた私を、偶然スカーレルが見つけてくれたんですよ。」

 

へえ、本当に偶然ですね。

 

「それがきっかけで、私は、カイル一家のお世話になる事になったのです。」

 

「ま、何て言うか、腐れ縁ってヤツね。」

 

っとヤードさんの言葉に続けて、スカーレル。

 

「所で、ヤードさん、聞きたい事があるんですけど。」

 

「何でしょう?」

 

顔を改めて、聞く体制になってくれるヤードさん。

 

「実は・・・」

 

俺は、自分がこの世界に来る事になったきっかけの出来事と、最初にアティさんと会った出来事を、細かく性格に話した。(こういう事は、遠坂との勉強が役に立った)

 

「・・・なるほど、結論から言いますと、普通ではありえない事です、が・・・アティさんが持っている「緑の賢帝」(シャトルス)が鍵の一端になっていると思えます。」

 

なるほど・・・。

 

「それと、この島の異常性も一役買っているのでは?

この島は、普通では考えられないほど、はぐれ召還獣が多いです。

何にせよ、情報が不足しています・・・。」

 

つまり、”解らない”っか・・・

 

「すいません、私も調べておきます、何か解りましたらお知らせします。」

 

ありがとうございます。

 

そしてお昼ご飯の時間になった。

 

そこでカイルさんが

 

「そろそろ、船の壊れ具合を把握したし、島の事を調べなきゃいけねえっと思うんだが。」

 

っと食べ終わった後の、ミニ会議で切り出した。

 

「島の調査ですか?」

 

「ああ、修理に必要な材料を、探しをしながらな。」

 

っとアティさんの問いに答えるカイルさん。

 

「この前の事が無いように、この島について、ある程度、調べる必要はあるでしょう。」

 

っとヤードさんも賛成のようだ。

 

その点は俺も賛成だ。

 

「もしかして、お宝とかあるかもねー?」

 

っとスカーレル。

 

おいおい・・・。

 

「ないない・・・。」

 

突っ込むソノラちゃん。

 

「でも、何処から調べるんですの?」

 

っとベルフラウちゃん。

 

「すごく大きいですよ、この島・・・。」

 

っとアリーゼちゃん。

 

「それなんだが、俺達、ここに流れ着いたとき、海の上から灯りみたいなものを見てんだよ。」

 

ベルフラウちゃん達の問いに、答えるカイルさん。

 

灯り?

 

「全部で4つ、ぐるっと島を中心に取り巻くみたいに。」

 

・・・何か居るんだな。

 

人の可能性もあるけど・・・、危険かどうか調べないとな。

 

「もし人が住んでいれば、話をつけて、修理に必要な材料を分けてもらおうって寸法よ。」

 

とカイルさん

 

上手くいけばって事か。

 

で4ヵ所の何処から調べるかって事だけど・・・。

 

カイルさん一家の意見は

 

カイルさんは、右手前の赤い灯り。

 

ソノラちゃんは、左手前の紫の灯り、理由はピカピカしていたからだそうだ。

 

ヤードさんは、右奥の青い灯り、理由は点滅していたから・・・。

 

スカーレルは、左奥の緑の灯り、理由は「あえて」だそうだ・・・。

 

おい・・・、皆、バラバラじゃないか!!

 

呆れた顔になる、俺、アティさん、ベルフラウちゃん、アリーゼちゃん。

 

「つーわけで、先生、シロウ、あんたらの出番だ。」

 

にかっと笑いながら、アティさんと俺に言うカイルさん。

 

「はい?」

 

怪訝な顔をするアティさん。

 

・・・まさか

 

「多数決で決めんのよ、先生とシロウの一票で、行き先が決まるって事。」

 

おい。

 

「そ、そうなっちゃうんですか!?」

 

困った声を出すアティさん。

 

ハッキリ言って俺も困るぞ。

 

うーん、どうする?

 

俺とアティさんは一寸相談するが。

 

ぶっちゃけ、どれを選んでも現状は変わらないんだよなあ。

 

なんで、アティさん任せた!

 

「ええ!?シロウさん、ずるいです!」

 

こういうもんは早い者勝ちです。

 

「うう・・・、え、えーっと。」

 

「じゃあ、私の召還属性の霊のサモンナイト石と同じ色の紫の灯りに・・・。」

 

ソノラちゃんの意見に一票入れるアティさん。

 

じゃあ、決まり。

 

嬉しそうなソノラちゃんに比べて、カイルさんは

 

「うう・・・、不安だ・・・。」

 

なんでさ?

 

で、全員で向かうわけにも行かないので、誰か留守番する事にならないとな。

 

「私が残りますよ、剣にや、シロウさんの事について、調べる事もありますし。」

 

「じゃあ、俺も残ります。

ヤードさん一人だと、何かあった時対処しきれないかもしれませんからね。」

 

俺も残ろうっと手を上げる。

 

「ベルフラウちゃんとアリーゼちゃんを、よろしくお願いします。」

 

っとアティさん。

 

解っています。

 

で解散になって、アティさん達は船から出て行った。

 

さてっと・・・アティさんたちが帰ってくるまで、どうしようかな?

 

「あ・・・、あの・・・。」

 

ん?

 

アリーゼちゃんか

 

「どうしたの?」

 

「えっと、その・・・・。」

 

もじもじしているアリーゼちゃん。

 

「慌てなくてもいいよ、ゆっくり深呼吸してから、言ってごらん。」

 

「は、はい。」

 

深呼吸するアリーゼちゃん。

 

「あの、昨日は私と姉さんを助けてくれてありがとうございました。」

 

ペコっとお辞儀をするアリーゼちゃん。

 

「気にする事は無いよ、俺が助けたいと思ってやったことだから。」

 

と俺は答えて、アリーゼちゃんの頭の上に手を載せる。

 

「あ・・・、あの・・・。」

 

困った声を出すアリーゼちゃん。

 

「あ、悪い、気を悪くしたかい?」

 

慌てて、手を除ける俺。

 

・・・悪かったかな?

 

遠坂から俺は、無防備すぎるって言われているからなあ、気をつけないと。

 

「いえ、その何か懐かしい感じただけですから。」

 

そうなの?

 

「はい。朝の時も一寸恥ずかしかったけど、嬉しかったです、ね、姉さん?」

 

え?

 

俺がアリーゼちゃんが見ている方に顔を向けると、そっぽを向きながら立っているベルフラウちゃんが居た。

 

「・・・・・・。」

 

「姉さん。」

 

「解ってるわ。」

 

アリーゼちゃんの言葉に後押しを受けたのか、ベルフラウちゃんは俺の方に向き、優雅に頭を下げた。

 

「我姉妹を、助けていただいてありがとうございます、この礼は、帝国に戻ったら私、ベルフラウ・マルティーニの名において必ずしましょう。」

 

いや・・・そんな大げさな・・・。

 

「レディが頭を下げてるんです、きちっと答えてあげてくださいシロウさん。」

 

困って頭をかいていた俺に、アリーゼちゃんが言う。

 

なんかアリーゼちゃんって桜みたいだなあ・・・。

 

そうだな、何か言ってあげないとベルフラウちゃんに失礼だな。

 

「お礼は別にいいけど、アリーゼちゃんの言葉はとても嬉しかった。」

 

そう、言葉だけで充分だ。

 

そう、その「ありがとう」はとても嬉しい、「正義の味方」であり続けようと改めて思えるようになる。

 

第一心が温まるようだ。

 

がベルフラウちゃんは不満そうだ。

 

「それではマルティーニ家次期家長として納得がいきませんわ。」

 

うーん、困った。

 

俺は、そんなつもりで助けたんじゃないんだが・・・。

 

ん?

 

そうだ、これなら良いか。

 

「じゃあ、ベルフラウちゃんが無事帝国に帰ったら、ベルフラウちゃん本人ができる範囲で構わないから何か困ったら、手伝ってくれないか?」

 

「・・・・・、解りましたわ。」

 

?なんでそこで顔を赤らめるんだ?

 

アリーゼちゃんはムッとしてるし・・・。

 

「じゃあ、ベルフラウちゃん・・・。」

 

「私の事は、”ベル”で良いですわよ。

その代わり、貴女の事は”シロウ”と言いますから。」

 

「あ、私も”リゼ”と言ってください。」

 

「ああ、構わないよ、ベル、リゼ。」

 

俺の返事で、微笑む姉妹。

 

そして、アティさん達が帰ってくるまで、当たり障りのない話をして(俺の世界の話とか、ベルたちの帝国の事とか)楽しんだ。

 

(続く)




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