サモンナイト3“剣製の魔術師”第六話


ああ、俺は今夢を見てるんだな・・・。

 

そう、此処は俺の心象世界、”無限の剣製”の世界の中・・・・。

 

ここ半年の間に、この俺の世界は微妙に変わった。

 

以前は乾き赤茶けた土に、剣が刺さっていただけだったが、黒い土に(まだ草は生えていない)岩が飛び出してその上に剣が刺さっている。

 

空も綺麗な夜空だ・・・、そして大きく満月が浮んでいて、その光は青白くなく、儚げな金色だ。

 

俺は、この世界の中心に歩いていく。

 

 

おかしい?

 

俺の格好が違う。

 

何時もはこの世界に来ると、アーチャーのような赤い衣を纏っているんだが、今日纏っているのは深い青色、紺碧色だ。

 

そして何時もは俺の設計した”俺の剣”が刺さっているのだが、更に青く輝く○○ガ刺さっている。

 

!?

 

俺の他に、誰かが立っている。

 

アーチャー?

 

もう一人いる。

 

赤毛の男性・・・か?

 

俺達三人は、その三振りの剣の周りを等間隔に立ち、眺める。

 

そうか!!

 

あの○○を組み合わせると”約○○れた○○の剣””○利す○○○○の剣”となり、俺だけの○○の剣に・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・

・・

 

 

気が付くと、見慣れない部屋で目が覚めた。

 

ああ、そう言えば何でか、知らないけど異世界に来てしまったんだっけ。

 

外はもう明るくなっている。

 

何にせよ、起きるか。

 

起きて船の外に出る。

 

其処には、カイルさんが訓練をしていた。

 

呼吸法で息を整えつつ、型を取っている。

 

おお、凄い。

 

やはり、この人は強いな。

 

正面から殴り合ったら、まず俺が負けるだろう。

 

パチパチパチ。

 

後ろから拍手の音が。

 

振り返るとアティさんが居た。

 

「なんだ、先生とシロウか、早いじゃねえかよ?」

 

「俺は、何時もこのくらいの時間に起きていますから。」

 

「私もです、カイルさんこそ、朝からお稽古なんて凄いですね。

 

「クセみてえなもんさ、俺にコイツをしこんでくれた人の教えでよ、朝の澄んだ空気はストラの力を高めるには、いいんだとさ。」

 

ストラ?

 

「ストラって、確か、気の力を利用した、治療法でしたよね?」

 

へえ、”気”ですか?

 

「ほんの少しだけど、勉強してみた事があるんです。」

 

とアティさん。

 

博識だなあ。

 

「私、医術を学ぶために、軍学校に入ったようなものですから。」

 

へえ・・・。

 

相槌を打つ俺とカイルさん。

 

そこへ

 

「アニキ!!せんせ!!シロウ!!朝飯できたよー!!」

 

とソノラちゃんの声。

 

「それじゃ、私、ベルフラウちゃんとアリーゼちゃんを起こしてきますね。」

 

じゃあ、朝飯にしますか。

 

 

 

さてと、朝飯も食ったしどうしようか?

 

アティさんは、朝食中に聞いたことによると、ベルフラウちゃんとアリーゼちゃんに授業をするそうだ。

 

「元々、私は彼女達の家庭教師として雇われたんですしね。」

 

なるほどね。

 

おれはどうしようかな?

 

やはり船の修理を手伝うべきだろう。

 

俺は船長室に向かう事にする。

 

船長室に行くと、カイルさん、スカーレル、ヤードさんがいる。

 

「カイルさん、話があるんですけど。」

 

「一寸まってくれ、今ソノラが、先生達を呼んでるからよ。」

 

そうですか、一寸待つか。

 

5分ほどで、全員が揃う。

 

「さて・・・、集まってもらったのは、新しい客人たちに、俺らの事情を説明しておくためだ。」

 

そこで説明を受けた。

 

まず、彼等が船を襲った理由。

 

アティさんが持っている、剣を狙って襲ったらしい。

 

「それを手にした貴女自身が、誰よりも実感してるとは思いますが、あの剣は、普通の剣ではありません。」

 

とヤードさん。

 

確かに、あのケンは不味い・・・、そんな気がする。

 

「あの剣は、ある組織で、厳重に保管されていた二本の剣の一つで、強大な魔力と知識が、封じられた品なのです。」

 

・・・やはり、神器、宝具の類か・・・。

 

「そんな凄い剣が、どうしてあの船にあったんですか?」

 

っと怪訝そうな顔をして、質問するアティさん。

 

「そもそも、厳重に保管されていたんでしょ?」

 

俺も同じく質問する。

 

「それは・・・。」

 

言い難そうにするヤードさん。

 

「かっぱらってきたのよ、このヤードがね。」

 

っと代わりにスカーレルが、あっけらかんと答える。

 

・・・へ?

 

何で?

 

「「無色の派閥」・・・。」

 

「無色の派閥」?

 

そのヤードさんの言葉に、アティさんが反応する。

 

「それって・・・。」

 

「そう、大陸のあちこちで、破壊活動をしているイカレタ連中の事よ。」

 

・・・テロリストですかい・・・。

 

「召還師を頂点とした、国家を作るんだってふざけた事を抜かしているわ。」

 

随分と、此方の世界の魔術師は、世俗的だなあ・・・。

 

まあ、国家樹立は良いとして、それを理由にテロですかい・・・。

 

「その無色の派閥に、私は所属していました。」

 

何ですと?

 

ヤードさんの話に、ビックリの俺達。

 

「その剣は、新たな「無色の派閥」の作戦の、重要な鍵として、使われるはずだった品物なのです。」

 

「ま、色々あって、ヤードは派閥を抜けるつもりになっていた。

・・・で、剣を持ち去る事で、その計画を阻止しようと考えたわけ。」

 

なるほど・・・、抜けた理由は誤魔化したが、後は嘘をついていないようだな・・・。

 

「ですが、追っ手との攻防の途中で、剣は私の手から離れてしまい、帝国軍によって、回収されてしまったのです。」

 

なるほど。

 

「まあ、先生は気づいてなかったと思うけど、アノ船にはさ、極秘にその剣を運んでいた軍人達が、乗り合わせていたんだよね・・・。」

 

っとソノラちゃん

 

「で、事情を聞いた俺達一家が、一肌縫いだって訳よ。」

 

っとカイルさん。

 

「剣を取り返して、誰にも手出しできない場所まで捨てに行く。

俺達は、その為にあの船を襲ったのさ。」

 

そ事情を話し終わったカイルさん一家。

 

「冗談ではありませんわ!!私達は巻き込まれただけじゃないですの!?」

 

「そうです!」

 

っと怒りをあらわにする、ベルフラウちゃんとアリーゼちゃん。

 

「本当に、すまないと思っています。」

 

ヤードさんが、済まなそうに誤っている。

 

「返して!!今すぐ、家に帰して・・・・!!」

 

「うっ、うう・・・・。」

 

泣き出す、姉妹。

 

・・・そうだよな、まだこの子達は、子供なんだ・・・。

 

泣いている二人の頭にそっと手を載せる。

 

そして、落ち着くまで、じっとしてやる事にする。

 

・・・・・・・・・

 

「・・・・・・うっく。」

 

「・・・・・・くすん。」

 

「落ち着いたかい?」

 

「申し訳ありません、取り乱してしまいましたわ。」

 

「大丈夫です、・・・有難うございます。」

 

・・・?なんで二人とも顔が赤いんだ?

 

「言い逃れするつもりはねえさ、この責任はキッチリ取らせてもらう。

あんた達は、必ずここから連れ帰る。

だから、暫くの間だけ、我慢してくれ、この通りだ・・・。」

 

頭を下げるかイルさん。

 

「・・・解りましたわ、その代わり、今の約束、破ったら、許しませんから!!」

 

っとカイルさんに、答えるベルフラウちゃん。

 

「それで、これからどうするんですか?」

 

俺が質問する。

 

「ああ、破損箇所を点検して、修理はそれからかな?

問題は、修理に必要な人手と材料だな、特に人手がな・・・、時間がかかっちまうが、覚悟してくれ。」

 

「必要なら、何時でも声をかけてください、手伝いますから。」

 

「おう。」

 

っと言う事で、一旦解散。

 

(続く)




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