サモンナイト3“剣製の魔術師”第四話


「しかし、本当にやられたわ、本当に完璧に。」

 

ケバイお兄さん(スカーレルで良いわよ、だそうだ)もとい、スカーレル。

 

「銃があったら、絶対!ぜーったい負けたりしなかったのに・・・。」

 

とカウボーイハットの女の子(ソノラだよ!!)もといソノラ。

 

「・・・ねえ、今の戦いっぷりアナタ達、素人さんじゃないわね?」

 

「私は帝国の軍人でしたけど、今はやめてこの子達のの先生してます。」

 

とアティさんがスカーレルに答えている。

 

「アナタは?」

 

「俺は、そもそもこの世界の人間でないし。」

 

「え? あんたまさか、ソイツの護衛獣な訳?」

 

とソノラ

 

「まあ、その様であり、そうで無い様でもあり。」

 

俺やアティさんも解らないからな、答えようが無い。

 

「込み入った事情がありそうね・・・。」

 

スカーレルはそう言った後、まだ剥れてるソノラに話しかける。

 

「ちょっと、ソノラ?いい加減にしなさいな見苦しいわよ。」

 

「うぐ・・・。」

 

「まあ、私達の負けよ、煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい。」

 

そう言われてもなあ・・・

 

「そう言われても困っちゃうんですけど。」

 

ですよねぇ・・・、一寸アティさんと話し合う。

 

まあ結論はと言うと、この二人はそんなに悪人じゃないだろうから、約束させればいいと言う事になった。

 

「つまり、もう二度とアナタ達を襲わないと約束すればOKと?」

 

「はい。」

 

これには4人が驚いてる(スカーレル、ソノラ、ベルフラウ、アリーゼ)

 

なんで驚いてんのさ・・・。

 

「カッコイイわねぇ でもアタシ達がさ約束を守るなんて本気で思ってるの?」

 

とスカーレル。

 

まあ、普通はそうなんだけどさ、でもその時はその時さ、第一、メリットが無いじゃないか・・・。

 

繰り返すほど馬鹿じゃないでしょう?

 

「正直そうなるのはイヤですけどね。」

 

そうだよな。

 

と意気投合している、俺とアティさん。

 

ソレを見ていたスカーレルは、フゥっと力を抜きニコっと笑った。

 

「ねえ、ソノラ、アタシ、この人達の事気に入っちゃったわ。」

 

「へ!?」

 

・・・ソノラさん、目が点になってます・・・。

 

「ねぇ、センセ、っとシロウだっけ?良かったらアタシ達の船に来ない?」

 

「は?」「え?」

 

マジですか?

 

今度はこっちが驚く。

 

「船が、あるんですの?」

 

ベルフラウが思わず割り込む。

 

まあ、しょうがないか・・・、普通は驚くよな。(俺も驚いたし)

 

「壊れた部分を直せば、チャンと出向できるわ。

それに食べ物に水、それにベッドだって付けちゃうし、修理を手伝うんだったらお礼に、近くの港まで載せてってあげる。

どう?」

 

っとスカーレル。

 

おお!!太っ腹<釣られてます。(オイ)

 

「解りました、その提案、乗りましょう。」

 

だよな。

 

逆に驚いてるのは、ベルフラウちゃん。

 

アリーゼちゃんは、一寸驚いたけど、少し考え直したようで黙っている。

 

ソノラも驚いているようだ、兄貴に黙って勝手にっとか言ってる。

 

そうか、兄ちゃんがいるのか。

 

「いいのいいの、カイルだってこの子達の事気に入るわよ、それに・・・愛があれば何だって許されるわ!」

 

はあ・・・愛ですか・・・。

 

「だ、ダメだ・・・こりゃ・・・。」

 

ガクリと肩を落とす、ソノラちゃん(だよな、多分桜より年下のはずだ)

 

と言うわけで、スカーレル達の案内で、海賊船に向かう事に。

 

 

で、移動中に又自己紹介

 

スカーレルはカイル一家の後見人をしているそうで、困ったときの相談相手とかしてるそうだ。

 

ソノラちゃんは・・・まだ剥れているが、スカーレルが言うには、短気だけど根は優しい子だそうだ。

 

・・・うん俺もそう思うぞ。

 

「ふーんだ。」

 

こっちも自己紹介する。

 

で困ったのは俺の説明。

 

スカーレルは、服装からこの世界の人間でない事がわかったみたいだが、何処から来たのか、とか、さっきの戦闘で使った、俺の投影魔術を聞きたがってる。

 

まあ、簡単にアティさんに教えてる程度のことを、改めて説明する。

 

「ふーん? ヤードに聞いたら、何か解るかもね。」

 

ヤード?

 

「ええ、今、私達の船にいる、私の幼馴染よ。

彼は召還師なの。」

 

へえ。

 

で入り江が見えてきた。

 

!? 様子が変だ。

 

スカーレルや、ソノラも様子がおかしい。

 

アティさんも真面目な顔をしている。

 

どうやら戦闘中のようだ。

 

金髪のガタイの良い兄ちゃんが、はぐれ召還獣をぶん殴ってる。

 

この人が、多分カイルだ。

 

その脇で杖を持った魔術師らしき男性、この人はヤードだろう。

 

・・・強い。

 

だがヤードを庇いながら戦闘をしてる所為か、おされ気味だ。

 

不味いな・・・。

 

「兄貴!?」

 

「およし、ソノラ!あんな数の化け物、あんた一人で倒せるの!?」

 

思わず飛び出そうとするソノラちゃんを引き止めるスカーレル。

 

「離して!やだやだやだ!離してよう!」

 

「このままじゃ、兄貴が、兄貴が死んじゃうよ!」

 

ソノ声にアティさんが剣を構える。

 

「一寸!?」「先生?」

 

驚く、ベルフラウちゃんとアリーゼちゃん。

 

「見過ごせないよね?」

 

俺もそう思う!

 

「何でですの!?」

 

「そんな・・・、どうして!?」

 

「仲間だよ。」

 

そうだ、仲間だ。

 

そのアティさんと俺の声に、思わず振り返る、スカーレルとソノラちゃん。

 

「約束を交わした以上、仲間なんだ。仲間である以上、助けなくちゃいけないんだ。」

 

と俺

 

「ケンカして、仲直りして、これからもっと仲良くなるんだよ。」

 

とアティさん

 

「「だから、助けるんだ!!」です!!」

 

「解ったわ、手伝ってちょうだい。」

 

おう、で突っ込む前に、数を減らさないとな。

 

「何を?」

 

怪訝な顔をするソノラちゃん。

 

「詳しく説明する暇が無いが、俺が特大級をぶっ放すから、その後で突っ込んでくれ。」

 

わかった。

 

よし

 

確認を取った後、俺はこの状況下で最も会った武器を投影する。

 

「投影、重装」 (トレース フラクタル)

 

手に艶の無い黒い弓が出てくる。

 

驚く3人を尻目にさらに呪文は続く。

 

I am the bone of my sword」(我が骨子は捻じれ狂う。)

 

弓に捻じれた鏃が現れる。

 

そして

 

「”偽・螺旋剣”!!」(カラドボルグ!!)

 

放つ!!

 

着弾したらすかさずその宝具(偽・螺旋剣を解き放つ)

 

「壊れた幻想!!」(ブロークン・ファンタズム!!)

 

ズム!!!

 

爆発、吹っ飛ぶはぐれ召還獣!!

 

「あんた・・・」

 

「今だ!!」

 

飛び出す俺とアティさん。

 

釣られてソノラちゃんとスカーレルも飛び出す。

 

「投影、開始!!」(トレース、オン!!)

 

弓を捨て”干将・莫耶”を代わりに投影する。

 

 

 

10分ほどの戦闘で、はぐれ召還獣の大部分を倒したが、まだ向うの戦意が落ちない。

 

どうする?

 

迷っていると、アティさんが

 

「仕方ありませんね・・・。」

 

”キィィィィン!!”

 

空間から緑色のケンを取り出した!!

 

一瞬の内にアティさんの体が”何かに”書き換えられていく!!

 

そこには、銀色の髪で緑色の瞳をした、アティさんが立っていた!!

 

威圧するように緑色のケンを翳す。

 

「グヒィィィィィ!?」

 

怯み、怯えて逃げていく召還獣達。

 

あっけに取られる俺達。

 

「バカな・・・。」

 

ヤードさん?

 

「どうして、貴方がその剣を使いこなしてるんです!?」

 

血相を変えて、アティさんに問いただすヤードさん。

 

「この剣の事、知ってるんですか?」

 

険しい顔のヤードさん。

 

「おいおい、客人、もしかして!?」

 

察するように、カイルさんがヤードさんに尋ねる。

 

「間違いありません。

この人が使った剣は、私が持ち出した2本の剣のひとつ、「碧の賢帝」(シャルトス)と呼ばれていたものです。」

 

「碧の・・・賢帝」(シャルトス)か・・・・。

 

「つまりだ、俺らが船を襲ったのは、そいつを分捕るためだったって事だ。」

 

・・・・なるほど。

 

「詳しい話を、聞かせてもらえませんか?」

 

真剣な顔で問うアティさん。

 

「ちょいと、お待ち!込み入った話の前に、客人にお礼が先よ。」

 

っとスカーレル。

 

「うん、そうよね!」

 

賛同するソノラちゃん。

 

という訳で船内に移動。

 

「助けられちまったみたいだな、あんた等に。」

 

「気にしないでください、私たちが、そうしたかっただけですから。」

 

お礼を言うカイルさんに、困った顔のアティさん。

 

俺もそう思う、困っていたら助けるのが普通だし。

 

「スカーレルから事情は聞いた。

海賊カイル一家の元締めである俺が、改めて、此処に宣言しよう。

あんた達を俺達の船の客人として、歓迎するぜ!!」

 

「「おー!」」

 

宣言するカイルさんに、声を揃えるソノラちゃんとスカーレル。

 

良い奴等だなあ。

 

「ありがと、それと、これからよろしくね、先生、シロウ?」

 

とソノラちゃん

 

ああ、此方こそよろしく。

 

(続く)




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