福音という名の魔薬

 第弐拾七話「決戦、第3新要塞」

 使徒迎撃要塞都市、第3新東京。
「総員、第1種警戒態勢に移行。」
 箱根山中に建設された人類最後の砦は、本来倒すべき敵である使徒を殲滅してもなお戦闘態勢を維持し続けていた。
「全ての道路の封鎖を確認。」
 第17使徒迎撃戦を行なっている最中から、ネルフ本部の統制を無視して第3新東京市を包囲すべく動き出した戦略自衛隊に対応する為である。
「第7師団、箱根湯本に到達。」
 それはネルフの特務権限を侵し、ネルフと日本政府の間で結ばれた協定に明確に背反する行為ではあった。
「第10師団の先遣隊が箱根峠を越えました。」
 しかし、国連や日本政府が所有するレーダーサイトや偵察衛星などからの情報さえ封鎖すれば、近付き過ぎさえしなければ察知されないと日本政府側は思い込んでいた。
 ネルフ本部に残された“目”である箱根周辺の山々の山頂に設置されたレーダー群だけでは、地上部隊の展開を把握するのは難しいのだ。
「第1教導団、御殿場からの進発を確認。」
 だが、彼等の見積もりは甘過ぎた。
「丸岳、神山に特殊部隊らしき人影を確認。」
 第3新東京を囲むように配置されている犬型自動歩哨“ランドアーチン”が、
「第12旅団の半数が南足柄市から南下を開始しました。」
 衛星軌道上にいるネルフ本部専用偵察衛星“アヌ6”が、
「千歳、三沢、松島、入間、百里、浜松、小牧、小松、美保、春日、築城、新田原、那覇の各基地で総力出撃の準備が始まりました。」
 マギによる電子情報の監視が、
「相模湾沖の『しおさい』、新潟沖の『あらなみ』、弾道弾発射体勢での待機を確認。」
 いともあっさりと軍事機密のヴェールを剥ぎ取って、彼等の動きを逐一見張っている事に日本政府も戦自の上層部も気付いていなかった。
 故に、ネルフ本部側が万端の準備を整えて待ち構えている事にも気付いていなかった。
「ローパー、スライム起動! フローティングマイン散布用意!」
「了解。」
 ミサトの命令に日向が、
「機甲大隊、機械化歩兵連隊は市内防壁内にて待機。最初の一発は奴等に撃たせる。」
「了解。」
 カティーの指示に青葉がテキパキと応え、人為でなせる防備が整えられてゆく。
「ハルナちゃんに連絡。九州地方に特大の台風を発生させて。」
 更に、ネルフ本部の防備は超常の力すらも利用していた。
「た、台風……そんな事ができるんですか!?」
 使徒能力者の特異能力。その中でも、嵐を司る水の天使サキエルの力を継いだ鈴原ハルナの戦略的有用性は絶大であった。
「可能よ。」
 ハルナと何度か実戦さながらの訓練をやったミサトならではの発想かもしれないが。
 とにかく、総力戦を展開しようとした戦自航空部隊の3分の1が、この指示に従って発生された悪天候の為に戦わずして脱落させられた事は確かだった……。



 と、発令所が人間相手に戦いの準備を整えている頃、碇ゲンドウと冬月コウゾウは、恐らく最後になるだろうゼーレ幹部達との会談の為に2人揃って司令公務室にいた。
「約束の時が来た。我々がお前に預けた物を返して貰おう。」
「さよう。ネルフの指揮権、リリス、アダム、そしてロンギヌスの槍。……全てをな。」
「更に、全てのチルドレン、全ての使徒能力者の身柄もこちらに引き渡して貰う。」
「おとなしく従えば、お前達の身の安全は保証しよう。」
「望むなら、約束の時の一部始終を見届ける栄誉もくれてやる。」
 キールに続き、幹部達が次々とゲンドウに勝手な命令を下す。
 聞き届けられない事など考えてもいない傲慢さで。
「できませんな。」
 だが、ゲンドウの答えは彼等が当然期待していたモノとは異なっていた。
「何故だ、碇!? 今になって逆らう気か!?」
「やはり裏切ったか、痴れ者め!」
「だから早く始末しておけば良かったのだ。」
 座っている執務机を包囲する12の黒い板の立体映像から浴びせられる罵声の集中砲火にも顔色一つ変えず、ゲンドウは弁明する。
「今や、このネルフ本部は実質的にサードの……シンジの支配下にあります。私が返すと言っても無意味……いや、逆効果でしょう。」
 肘を机に着き、組んだ両手でニヤリと歪んだ口元を隠しながら。
「それに、当初のシナリオでは私が最後まで指揮を執るはずでは?」
「予定が変わったのだ。その程度の道理が解らぬお前でもあるまい。」
 苦り切ったキールの声が、ゲンドウへの不信を帯びて更に苦味を増していた。
「人は、エヴァを生み出す為にその存在があったのです。」
 ゲンドウの右斜め後ろに控え立っていた冬月が決裂は避けられないと見て、それでも一縷の望みをかけて自分達の信ずるところを主張する。
「人は、他の生物達と共存しながら新たな世界へと進むべきなのです。その為のエヴァシリーズです。」
 そして、ゲンドウも参考意見としてでも意見具申としてでも無く、自分達が進むべき道としてゼーレの決定に従わない事を断言した。
 しかし、老人達の頭は固かった。
「我等はヒトの形を捨ててまで、エヴァと言う名の箱舟に乗る事は無い。」
 人を超える力を求める割りに人である事を捨てたくないとワガママを抜かし、
「これは通過儀式なのだ。閉塞した人類が再生する為の。」
 全人類を……いや、地球に棲む全ての生命の自我境界線をアンチATフィールドで溶かし去り、新たなる世界を生み出す苗床にする予定に固執していた。
「滅びの宿命は新生の喜びでもある。」
 自分達に都合の良い、新たなる世界を生み出す為に。
「神もヒトも全ての生命が『死』を以って、やがて一つになる為に。」
 あるいは悩みも苦しみも無い楽園で、神として君臨する為に。
「死は何も生みませんよ。」
 しかし、何もかもいっしょくたに溶かしてリセットしたところで、何か有益な未来が来るとはゲンドウにも冬月にも思えなかった。
 確かに裏死海文書には『悩みも苦しみも老いも無くなる』とは書いていたが、それは死ぬ事と同義だと考えられなくも無いのだ。
「死は、君達に与えよう。」
 しかし、老い先短い彼等にとっての希望の灯明を諦めさせるには、彼等の執着は深過ぎて、彼等の猜疑心は敏感過ぎて、彼等の権勢は大き過ぎた。
 12の黒い板がゲンドウ達の前から消えた時、人類の命運を賭けた血で血を洗う最終決戦が始まったのだった。
 シトとヒトとの間では無く、ヒトとヒトとの間の戦争が。



 ターミナルドグマの最深部。
 LCLプラントとも呼ばれるリリスの聖所にて。
「綾波っ!」
 第17使徒の殲滅を見届けたレイは、塩の小島にフラリと倒れた。
「す、凄い熱だ……。とにかく、病院に運ばなきゃ。」
 このままレイをこの部屋に寝かせておくのに言い様の無い不安を覚えたシンジは、レイとカヲルを両腕に抱えて急いで立ち去った。
 槍に貫かれた巨人が眠る十字架がある墓所から。



 ゲンドウ達が発令所の司令塔に戻るや否や、不吉極まる報告が舞い込んで来た。
「第2東京からA−801が発令されました!」
「特務機関ネルフの特例による法的保護の破棄、及び指揮権の日本国政府への委譲か。最後通牒と言う所だろうが……どうする、碇?」
 驚愕に震える青葉の叫びを聞き、冬月が組織の長へと方針を訊ねる。
 今、ネルフの全職員が一番聞きたいだろう事を。
「……ネルフ本部全館、及び避難シェルターの全てに放送の用意だ。急げ。」
 サングラスの下で瞑目し、しばしの間草稿を練る。
「準備できました。」
 青葉達オペレーターが放送の用意を整えている間に。
「私が特務機関ネルフの総司令、碇ゲンドウだ。現在、自分達に都合の良いサードインパクトを起こそうとしている狂信者集団ゼーレにそそのかされた日本政府が、軍隊でこの第3新東京を攻めようとしている。」
 簡潔に事情を説明している時、それは起こった。
「第6ネット音信不通!」
「左は青の非常回線に切り替えろ。衛星を開いても構わん。そうだ。右の状況は?」
 管制官の非常報告に冬月が素早く対処するが、
「外部との全ネット、情報回線が一方的に遮断されています。」
 外部との情報通信回線の切断は止まらない。
「表全部の外部端末からデータ侵入!」
 実戦力による制圧の代わりに、電子的な侵攻が開始されたのだ。
「マギへのハッキングを目指しています!」
 ネルフ本部の基地機能を掌握しているマギを支配されると言う事は、ネルフ本部を制圧される事と同義である。
 成功すれば武力制圧よりも労力も犠牲も少なく済む制圧手段であった。
「やはりな。侵入者は松代のマギ2号か?」
「いえ。少なくともマギタイプが7。ドイツと中国、ロシアとアメリカからの侵入が確認できます。」
 冬月の問いに対する青葉の答えは、
「ゼーレは総力を上げているな。彼我兵力差は1対7、分が悪いぞ。」
 勝算が絶望的だと言うも同然のものだった。
「碇司令。演説の続きをお願いします。」
 しかし、技術部の長たる赤木リツコ博士は、この戦況にも関らずこれ以上無いほど落ち着き払っていた。
「勝算は?」
「全く問題ありません。」
 少女の可愛らしい顔に不敵な笑みを浮かべて。
「……そうか、任せる。」
 余計な部分を全て削ぎ落とした問答の後、ゲンドウは再びマイクを手に取った。
「私は、人類の未来を……子供達の未来を守る為にゼーレと断固戦うつもりだ。諸君らの協力を切に願いたい。」
 誤解のしようも無い今後の行動指針を、
「だが、私の言っている事が信用できない方々もいるだろう。そういう方は30分以内に最寄りの第7環状線の駅に集まってくれ。我々ネルフの総力を以って外へと安全に送り届ける事を約束する。」
 賛同しない者への対処を、
「また、民間人の諸君の為にジオフロントに非常事態用のシェルターを用意してある。もし、ここに留まる事を選んだなら、そちらに避難するように。今、あなた方が避難している使徒迎撃戦時用のシェルターより、今回のような事態なら安全だ。」
 非戦闘員への配慮を聞き取り易い言葉で一音一音語る。
「最後に、今までの協力に感謝する。」
 ゲンドウにしては珍しい感謝の言葉に続いて、
「人類の存亡はこの一戦に有り! 各員奮励努力しろ!!」
 肺活量の限りを尽くして腹の底から発せられた檄に、発令所全体が……もとい、ネルフ本部全体が……いやいや、第3新東京市全体がときの声に満ちた。
 結局、第7環状線に乗って外へと脱出しようとした人間は現れなかった。
 ……ゲンドウの台詞が本当かどうか確かめようとして駅に現れた人間は結構いたが、重武装の兵士が装甲列車に希望者を載せて脱出させる体勢を本気で整えてるのを見ただけで満足してしまったのである。
 人徳の差だろうか、それとも普段からの信頼度の差だろうか。
 ……もっとも、ゲンドウより日本政府の方がより信用されてないとも言えるのだが。
 兎にも角にもネルフ本部が特務権限を剥奪されたにも関らず、ただ一人の脱落者も出さずに迎撃態勢を維持したのは確かな事であった。

 そんな演説がなされてる間にも、熾烈な電子戦は続いていた。
「メルキオール、バルタザール、カスパー押されてます。」
「単純な物量戦では勝ち目はありませんですわ。」
 伊吹マヤとマリィ・ビンセンスが戦況を報告するが、リツコの不敵な笑みは崩れない。
《母さん、解析終わった?》
 それは“MAGI”について最も詳しい人物が味方になっている心強さと、
《ええ。全部私の基礎プログラムのマイナーチェンジ止まりよ。量産化用にマイナーダウンした部分もそのままだったわ。》
 所詮、擬似人格しか持たない劣化コピーの性能は、3人の天才科学者が力を合わせているオリジナルの性能に遠く及ばない現実と、
《じゃ、そろそろ反撃の時間ね。防御はこっちでやるから母さん達は攻撃をお願いね。》
《分かったわ。》
 リツコがその気になっただけで、外部からのハッキングをATフィールドで完全に遮断できると言う確たる自信が支えていた。
 致命的にならない程度に良いだけ噛みつかせる間に敵戦力を見極め、満を持して繰り出された真の戦力が牙を剥いた時、形勢は実にあっさりと逆転した。
「マギ2、マギ5、マギ6、マギ8制圧!」
 仮想領域に迷い込まされていたマギ・コピー4台が上位命令コマンドを受け取らされて忠実な下僕へと変えられ、
「マギ3、マギ4、マギ7がBダナン型防壁を展開! 以後62時間は外部からのアクセスができません。」
 間一髪対処が間に合った3台は、鉄壁の防御を張った代わりに外部の状況を把握できる方法の全てを捨て去って無力化された。
 電子戦による前哨戦は、異論の余地無くネルフ本部側の圧勝であった。



「こちらのマギは第666プロテクトをかけた。……3台だけはな。」
 悔しそうな声が黒い板の群れの一つからこぼれる。
「向こうに制圧された4台に対する熱処理は終了している。支部ごとな。」
 N地雷によるマギ・コピーの物理的破壊。それによって、接収されたマギ・コピーが敵に利用される事態だけは避けられた。
 ……その支部にいた多数の職員の生命と言う犠牲と引き換えにして。
「マギの接収は中止せざるを得ない。」
 ここまで力の差を見せつけられて、同じ方法で再度挑戦するのは馬鹿のやる事である。
 彼等に様々な欠点はあるが、少なくとも馬鹿では無かった。
「でき得るだけ穏便に進めたかったのだが、いたしかたあるまい。」
 予想を遥かに上回る損害に苦虫を噛み締めつつ、キールは宣言した。
「本部施設の直接占拠を行なう。」
 殺戮と破壊をもたらす軍事力の行使を。



 ジオフロントの地表にあるネルフ中央病院が閉鎖されて医師や患者達が本部基地内に退避したと聞き、シンジはレイとカヲルを取り敢えず自分の執務室に併設されている仮眠室へと運び込んだ。
「シンジ様。医師の方とシズクさんは今こちらに向かってるそうです。」
 執務室で待機していた秘書の白石ミズホの手を借りて仮眠用にしては立派なベッドに2人を寝かせながら、シンジは現状報告を受け取った。
 レイの為に発令所に連絡して医師を手配して貰っていたのだ。
「うん。分かった。……後、頼んで良いかな?」
 心底すまなそうな顔をしたシンジの頼みを断れる者など、シンジの恋人には珍しい。
「分かりました。いってらっしゃいませ。」
 キャリアウーマン然として情とは無縁そうに見える外見のミズホも、例に漏れずシンジの頼みに弱かった。……もっとも彼女の場合はシンジの業務を補佐する秘書なので、余程の事が無い限り頼まれたら嫌とは言わないだろうが。
「ごめん。」
 とにかく、シンジは急いで立ち去った。
 彼が必要とされる事態の勃発に備える為に。



 人っ子一人見えない緑の野山。
 一見のどかだが小鳥の囀りや野犬の鳴き声一つ聞こえない山林に、
「始めよう。予定通りだ。」
 迷彩服を着て潜んでいた兵士達が手に手に武器を携えて立ち上がった。
 標識が倒され車1台通らない道路を6輪軽戦車が駆け抜け、重戦闘機が蒼穹を舞い、8連ロケット砲を積んだトラックが目を付けていた広場を占拠して展開する。
 兵士を満載したトラックが装輪軽戦車の後に続いて走り、道路以外の斜面をキャタピラ駆動の通常型戦車が疾走する。
 そして、発砲する。
 6輪軽戦車の105oライフル砲が、
 74式戦車の105oライフル砲が、
 90式戦車の120o滑腔砲が、
 99式自走榴弾砲の155o榴弾砲が、
 MLRSの多連装ロケット弾が、
 96式自走迫撃砲の120o迫撃砲が、
 重戦闘機の空対地ミサイルが、
 第3新東京要塞とその付属設備へと向け、明瞭な殺意を込めて放たれた。
 だが、その結果は、いきなり彼等の苦戦を暗示するものだった……。

「第8から第17までのレーダーサイト被弾! 電磁バリアの自動展開確認!」
 箱根を囲む山頂に設置された対空レーダー群に対して戦自の先遣部隊からの猛砲撃が敢行されたのだが、極秘で設置されていた電磁障壁に阻まれて果たせなかった。
「自動迎撃システムにより砲弾・ミサイルの72%を撃墜しました!」
 また、市内各所に備えられたバルカン・ファランクス機関砲や対空レーザー砲台“サラマンダー”によって危険度の高い攻撃を自動判別して撃ち落し、損害を事実上0に抑えてしまったのだ。
「非常電源、蓄電施設から原子力発電所並びにSリアクターに切り替え! 発電量が必要電力の265%に達しています!」
 更に外部からの電力供給が全系統カットされたにも関らず、一瞬の遅滞無く予備電源に切り替わり、あまつさえ非常用の蓄電施設への充電すら開始するネルフ本部。
「総員、第1種戦闘配置!」
 ……もはや、何の遠慮も要らなかった。
「反撃…開始!」
 フローティングマインがロケット弾や気球によって市内と周辺域に散布され、
 レーダーサイトが超強力なECM装置“アンシャー”として起動し、
 知能化機雷“スライム”と自走地雷“ローパー”の安全装置が解除される。
 更に使徒と戦う為と言う名目で整えられた要塞の攻撃施設が火を吹いた。
 長射程の対空ミサイルが、
 巡航ミサイルに匹敵する弾頭重量の対地ミサイルが、
 使徒戦では使いでに困りそうな榴散弾頭が、
 何時の間にか道路に転がり込んできた対戦車地雷が、
 第7師団の、第10師団の、第1教導団の先鋒部隊を派手に吹き飛ばした。
 鉄塊が血肉がオイルが飛び散り、兵器と兵士の残骸が量産される。
 砲撃で居場所を晒してしまった砲兵部隊に放たれた反撃が出鼻を挫く。
 国家に忠実な兵士達に苦鳴を上げさせ、または途切れさせて。
「第1、第3機械化歩兵中隊は桃源台方面、警備機甲大隊は湖尻峠に向かえ!」
「第2、第4機械化歩兵中隊は仙石原方面、第1パペット隊は長尾峠に向かって!」
「第5、第6機械化歩兵中隊は市内中心部で待機。一兵も通すな!」
「強羅防衛線で時間を稼いで! 相手は第7師団よ、遠慮無く鉛弾をごちそうしてあげなさい!」
「三島方面から接近中の航空部隊にフローテンィングマインを食わせてやれ!」
 カティーとミサトが交互に下す矢継ぎ早の指示に沿って行われる迎撃が、戦略自衛隊の精兵達に手酷い出血を強いる。
 話し合いでは無く、殺し合いが随所で発生する。
 攻める者と守る者の。
 皮肉にも、互いにサードインパクトを止めようと奮戦する一般兵士達の死闘が。
 朱を帯び始めた空の下で。



 二曹殿の御命令に従って、俺は待機していた茂みから飛び出した。
 俺達の任務はセカンドインパクトの再来を狙う史上最悪のテロリストの掃討だ。
 例え非戦闘員に見えたとしても、逃げようとしていても、降参しようとしても、俺達は例外無く殺さねばならない。
 誰一人残らず殺すべきだと命じられた。
 躊躇いなんて無い。
 二曹殿の御命令は、上の命令は絶対なんだから。
 御命令が間違ってる事など有り得ない。
 ──彼は気付いていない。ある種の狂信にも等しい服従心が、食事に混ぜられていたある種の麻薬の効能で強化された暗示によるものなどとは。
 89式小銃を手に姿勢を低くして山の斜面を駆け下りると、見慣れない装甲車から降りて来る見た事無いボディスーツを着た一団が目に入った。
 チャンスだ。
 装甲車はともかく、濃緑色の服を着ている連中なら小銃でもどうにかなるに違いない。
 上手くいけば装甲車が手に入るかもしれない。
「死にやがれぇぇぇぇ!!」
 俺は木の陰から手榴弾を投げ込み、無防備に突っ立ってる案山子どもに向け自動小銃の引金を絞った。
 ……が、誰一人倒れなかった。
 馬鹿な! 直撃した筈だぞ!
 一団の一人が持つ自動小銃が俺に向けられた直後、俺の、左肩に、腹に、右目に、激しく熱いモノが通り過ぎた。
 あれは……89式小銃……
 走馬灯の如く、戦争の事しか思い浮かばなかった。
 もっと大切な事があった筈なのに。
 思い出せない。
 思い…出…………


 第3新要塞に対する戦略自衛隊の侵攻は、いきなり出鼻を挫かれていた。
「三尉殿! エンジンが制御不能です!」
 更に加えて、彼等の機動力に対しても深甚なダメージが与えられつつあった。
 戦車と言わずトラックと言わずヘリコプターと言わず戦闘機と言わず……とにかく、近代兵器のエンジンがことごとく火を吹いてしまったのだ。
「何だって! 自動消火装置は!」
 それは、この重戦闘機も例外では無かった。
「効果ありません! うわああああああ!!!」
 対空砲火をかいくぐって急降下爆撃を敢行して砲台を2つ潰し、さて機体を引き起こそうと言う段になって左右2基ある可動式エンジンの双方から出火してしまったのだ。
「馬鹿なっ!!」
 乗っている人の都合など関係無く戦闘機は空中で爆発してしまい、脱出の決断が遅れた者は爆発に巻き込まれて命を落とした。
 また、首尾良く脱出できた者でも、運の悪い者は乱れ飛ぶ敵味方の銃砲弾・衝撃波・破片などに切り刻まれ、貫かれ、吹き飛ばされ、命持たない肉片へと変えられてしまう。
 半数ほどの運の良い戦車や飛行機はエンジンの火が消し止められ、自力で動けなくなりはしたが乗員を巻き添えに爆発したりはしなかった。
 しかし、そういう兵器の戦闘力は激減した。
 エンジンをやられた戦闘機は一機残らず不時着を余儀無くされ、動けなくなった戦車の多くは敵に狙い撃ちされて鉄の棺桶へと成り下がってしまった。
 ネルフ本部が盛大に撒き散らした石油系燃料を爆発的に燃焼させてエンジンを破壊させる特殊ガス兵器“フローティングマイン”がもたらした惨状である。
 こうして戦自は手持ちの機甲兵力の大半を無力化されてしまい、投入された2万を超える兵士の2割以上を最初の30分の攻防で喪ってしまったのだった。


 圧倒的劣勢を克服するべく、モスグリーンとオリーブドラブの2色で塗装された機械の巨人が戦自陣内で炎上するトレーラーから立ち上がった。
「戦自側のエヴァ・パペット3機、乙女峠を突破しました!」
 とうとう出て来たネルフ本部製の最強兵器…全高40mのロボット兵器に対しても、
「直轄回線を強制接続。エントリープラグを強制射出して。」
 ネルフ本部の発令所は落ち着いて対処した。
 当然ながら日本政府に売り渡したエヴァ・パペットがこの戦局で使用される事は予測済みであり、対処手段についても事前に仕込みを入れてあったのだ。
 第3新東京全域を包む超強力なECMで戦自側の直轄回線を途切れさせているが故の離れ業ではあるのだが。
「無人操縦で斉射3連! 徹底的に使い倒すのよ!」
 だが、手持ちの火器を歩兵部隊と化した教導団の真っ只中に撃ち込んでのし歩いていたパペットの各部から突然煙が吹き、3機とも敢え無く擱坐してしまった。
「自爆装置付きか。……やるわね。」
 戦自もネルフから提供された物をそのまま使うほどお気楽では無かったのだろう。
 そして、戦自の攻勢はまだまだ止まらない。
「鞍掛山の山頂付近に高エネルギー反応!」
 ようやく自走陽電子砲の据え付けが終わり、芦ノ湖の対岸から第3新東京を狙い撃ちしようとしていたのだ。
「加粒子砲と磁場撹乱弾を撃ち込め!」
 が、先制で周囲に撃ち込まれてしまった磁性粉末と強電磁プラズマによって磁場が乱されては、陽電子砲は張り子の虎同然……いや、陽電子を一時保存している磁場容器が変に影響を受けてしまっては自爆してしまいかねない。
 こうして戦自最強の火力を誇る兵器は無力化されてしまったのだが、これで参ったと言うほど職業軍人達の根性と技量は甘くなかった。
「矢倉沢峠上空に機影5! 低空侵入して来ます!」
 5機のC1輸送機が黒煙を吹いたエンジンを止め、滑空のみで突っ込んで来たのだ。
「対空砲火で仕留めろ! 急げ!」
 更には空中で落下傘を広げた降下兵達を開いた後部ハッチからばら撒いたのだが、5機とも残らず機関砲弾と地対空ミサイルの餌食と化した。
 パラシュートでゆっくり降りている途中の兵士はもっと悲惨だった。
 街のあちこちに設置されている5.56oという小口径のバルカン・ファランクスの良い的にされ、避ける事も叶わず血塗れのボロ雑巾に変えられていったのだ。
 その凄惨な光景の画像を直視して気分を悪くした者もいたが、嘔吐するまでには至らなかった。……良くも悪くも、こう言う事に慣れてしまっていたのだ。
 運良く生き延びて地に足をつけるのに成功した空挺隊員も、駆け付けたネルフ本部側の兵士や装甲車に射殺されて残らず事切れた。
 この様に攻防戦の第3幕もネルフ本部側有利で幕を下ろした。
 真っ赤に燃える夕焼け空の下で。


 接収した観光船3隻に乗り込んだ第10師団第33普通科連隊を襲った運命は、芦ノ湖の中程に待ち構えていた。
 機雷である。
 第17使徒襲来までは観光船が普通に往来していた航路に、機雷を敷設しようとする動きも全く見られなかったと言うのに忽然と現れた小さな死神は、徴用された観光船3隻をただの鉄屑に変え、乗っていた人間を湖の真っ只中に放り出した。
 知能化され、自航能力さえ備えた機雷が牙を光らせている危険水域の真っ只中に……。


 その頃、有利に戦っていた筈のネルフ本部の発令所では、
「各機械化歩兵中隊、機甲大隊はジオフロントまで後退。」
 ミサトが実戦部隊の引き上げを指示していた。
「何故だ。」
 司令塔から見下すゲンドウの眼光を真っ向から見返して、ミサトは堂々と答える。
「そろそろ補給と休息を取らせないと。体力にも弾薬にも限りがありますから。」
 それは幾ら兵器が高度化しても克服できない弱点であった。
 特に今回初めて本格的な実戦投入をした重装防護服“ギルガメス”は、抜群の防御性能を持つ代わりに今までの戦闘防護服よりも大幅に重くなってしまっており、歩兵部隊の体力の消耗が早まってしまっていたのだ。
 ちなみに今回エヴァ・パペットは遠隔操作をしているのと、武器弾薬の補給用施設が市内各所に用意されている為、別に後退させる必要は無い。
 その代わり……
「エヴァ・パペット初号機と弐号機の制御を浅利二士とストラスバーグ二士から南一士と清田一士に移行。」
「分かりましたですわ。」
 カティーの指示を受けて、マリィが疲労したパイロットの遠隔操縦席から、待機しているパイロットの遠隔操縦席へと操作権限を移行する。
 それでも、どうしても起きる空白はマギと機載コンピュータがカバーし、初号機と弐号機の2機のエヴァ・パペットのパイロット交代はスムーズに完了した。
 無謀にも突撃を繰り返す兵士達に鋼の報いを降り注ぎながら。


 衛星軌道の高みから見張られ、自慢の機甲兵力の全てを失った第7師団の兵士達は、旅順要塞に正面から立ち向かう旧日本兵にも劣る窮状にバタバタと倒れ伏していった。
 第3新要塞の中でも最も堅い防備を誇る強羅防衛線を相手にして。
 戦自最強戦車である90式戦車とは言え、エンジンが止まってしまっては柔な砲台か危なっかしい掩体にしか使えない。
 また、日本唯一の機甲師団である第7師団の主力は戦車部隊であり、戦車を失った戦車兵の武装は護身用の拳銃ぐらいしか無かった。
 これでは仲間の死体を盾にして這い進んだとしても、とてもではないが勝ち目が無い。
「これでは攻めようが…がっ!!」
 あまりに絶望的な戦況に身悶えせんばかりだった丘田陸将の右半身がちょうど5m右に着弾した大型地対地ミサイルに吹き飛ばされ、辛うじて秩序を保っていた第7師団は烏合の衆と化してしまった。
 兵士を指揮すべき上級司令部のほとんど全部が壊滅してしまった事によって。



 とても思わしくない戦況は、第2東京市にある首相官邸にも届けられていた。
「おとなしくお縄につかないとは本当にけしからん奴だ。」
 1m前進するにも100人の人血を要求されると言う惨状を招いた責任を相手に全部押し付けて、鯉墨首相はうそぶく。
「あの男を放置する訳にいかん。我々は世界平和の為に断固たる意志を示さねばいかんのだ!」
 そして大局も何も見ずゼーレの言う事だけに唯々諾々と従う頑迷男は、遂に最終兵器による攻撃命令を出した。



「『しおさい』が弾道弾を発射しました! 数、10!」
 N弾頭を装填した潜水艦発射型弾道ミサイルが第3新東京市に向け放たれる。
 トライデントミサイルと呼ばれる死の使いが一直線に大気圏外を目指し、目標へと逆落としに吶喊しようとした時、そのうちの1発を光の筋が貫き、爆発させた。
「“ラマン1”、“ラマン4”、“ガールー7”自動起動確認!」
 廃棄された人工衛星のフリをしていたネルフ本部直属の攻撃衛星が、本部への弾道弾攻撃を感知して自動的に迎撃を開始したのだ。
「“ナーガル”5、13、16加速開始! 目標軌道到達まで31秒!」
 同じく廃棄衛星のフリをしていたナーガル型攻撃衛星が自身をミサイルと化して弾道ミサイルの予測軌道の前へと滑り込む間にも、自由電子レーザー砲“ラマンの雷”と荷電粒子ビーム砲“ガールーの炎”がN弾頭を次々と射抜いてゆく。
 最後の仕上げに、撃ち漏らした弾頭に向かって“ナーガル”が小型ミサイル“ダハックの毒息”を大量放出しながら一緒に体当たりして破壊した。
「全弾迎撃成功!」
 徹底的に強化された宇宙戦力、その全てが如何無く活用された結果であった。
 だが、ゲンドウは守るだけの男ではなかった。
「N弾道ミサイル発射。目標は日本国首相官邸前庭。信管は抜いておけ。」
 これを機に、高みの見物を決め込んでる鯉墨首相に脅しをかけるつもりなのだ。
「はいっ!」
 日向の操作でミサイルサイロから解き放たれ、一直線に第2東京へと向かう凶器。
 それが寸分違わず命中したとマーダック型偵察衛星で確認してから、ゲンドウは切断された周囲の有線回線の代わりに独自に打ち上げていたイシター型通信衛星を中継して首相官邸に電話を無理矢理繋げさせた。
「攻撃を止めろ。さもなくば、次は実弾を使用する。」
 この遣り取りはネルフ側の通信衛星によって世界中に中継されていた。
 日本政府が先にN弾道ミサイルを撃ったのも、ネルフ本部が1発目は信管を抜いてわざと不発にした弾道ミサイルを発射したのもだ。
「そっちこそ抵抗を止めたらどうなんだね!」
 しかし、自分の過ちを認められない情緒欠陥を持つ鯉墨首相は、悪いのはゲンドウの方だとばかりになじり倒す。
「世界を滅ぼすサードインパクトを起こそうとしているゼーレの犬如きに降伏する気など無い。5分の間に停戦が実現しない限り、こちらはNで反撃する。」
 そんな妄言の時間稼ぎを相手にせず、ゲンドウは一方的に宣告すると通信を切った。

 3分後、呼びつけた垂直離着陸式重戦闘機で首相官邸を大慌てて飛び去る鯉墨首相と複駄官房長官の姿があった……。

 その1分後、第10師団を領する雄沢陸将から単独停戦の申し出があり、ネルフ本部はそれを受諾した。

 そして、更に1分後……乙女峠で頑張っていた第1教導団がN地雷の閃光に消え、民衆を置いて逃げ出した首相の乗った重戦闘機に向け弾道ミサイルが発射されたのだった。
 そのミサイルの目標地点は、衛星回線を通じて全世界に公表された。
「ミ、ミサイルだと! 馬鹿な! 何故こっちに来る!」
 ネルフの発表を信じるなら、このままではNミサイルの爆発に巻き込まれてしまう。
「進路変更だ! 早くしろ!」
 鯉墨首相は必死にパイロットを怒鳴りつけ、急かした。
 向かわせたのは金沢市。
 何万もの人命を人質にするつもりがあったのと、大枚をはたいて買い揃えたミサイル迎撃システムを積んだイージス護衛艦が金沢沖に展開しているが故の行動である。
 その辺の抜かりは無い男ではあった。
 だが、そこまでが限界だった。
「馬鹿な! 何故追って来る! それに…何故撃墜できないんだ!」
 臨時首相専用機を追尾して軌道変更した弾道ミサイルへの対空ミサイルでの迎撃は、何発かが確かに命中したにも関らず全く効果が無かった。
「うわああああああ! 助けてくれえええ!!」
「てめえのせいだ、てめえの!!」
 日本の政界を支配していた2匹の怪物は、Nの閃光の向こうに消えた。
 その爆発の瞬間、それまではミサイルを守っていた伊吹マヤの髪の毛に込められていたATフィールドの形が変化してNの爆発の被害が市街地へ波及するのを防いだ事を『死なばもろとも』と一般民衆を巻き込もうとした首相達は気付く前に蒸発したのだった。



 その頃、ネルフ本部の発令所では、
「で、うちの損害は?」
 吹き飛ばした相手の事は差し置いて、味方の損害の把握に努めていた。
「死者10人、重傷者18人。車両の方は大破が6台、中破が10台です。強羅防衛線は第2次防衛ラインまで壊滅状態。N地雷を使った乙女峠は勿論ですが、他の峠に配置されてる無人砲台も7割方やられてます。」
 敵に比べたら人的被害は少ないが、それでも死者が出てしまったとの日向の報告に、ミサトは内心溜息を吐きながら瞑目する。
 勇敢なる兵士の御魂が、せめて安らぎを得るように……と。
「……こりゃ、アレが効いてくれなかったらアウトだったわね。」
 戦自が今回の作戦に投入して来たのは、2個師団と1個旅団、それに第1教導団と第1空挺団を合わせて2万人を超える陸上兵力に、200機の戦闘機に30機の爆撃機。更に攻撃ヘリ部隊に、空挺部隊を満載した輸送機25機と輸送ヘリ部隊。
 その全てがマトモに活動できていたなら、いかに最新兵器で武装しているネルフ本部とは言え、圧倒的な物量差で押し切られていただろう。
 彼我の兵力差は人数で10対1以上、実戦力で見ても5対1以上の不利だと見積もられていたのだから。
 この勝利の要因は、
「諜報部に感謝だな。」
 カティーが口にしたように、第一級の秘匿兵器の存在を隠し続けた諜報部のエージェント達の活躍のおかげだと言えるかもしれない。
「ええ。……でも、まだ終わった訳じゃないわ。第12旅団と第7師団とか、未だ残ってるし。」
 ほとんど残敵掃討と言う段階ではあったが、味方の疲労などを考えると下手に攻める訳にもいかないし、潰したところでたいして得になる訳じゃなかった。
 なので、ネルフ側としては寧ろ逃げてくれた方が良いぐらいなのだが、彼等は命知らずにも突撃を繰り返しては自動砲台数個を潰すのと引き換えに死傷者を百人単位で出して、勝手に壊滅しそうになっていた。
「放っといたって良いんじゃないですか?」
 ……それは、あと1時間もそのまま放置しておけば、残らず全員骸に変わるだろうって程の狂乱ぶりだった。
 しかし、ミサトは日向が唱えた楽観論に相槌を打たず、ポツリと呟く。
「ああなった方が怖いのよ。人間ってヤツは。」
 と。



 あまりにも不利な戦況はゼーレの幹部達にも伝わっていた。
 そこで、邪魔なネルフの宇宙戦力を叩き潰すべく列強各国が密かに衛星軌道に配備していた攻撃衛星を使用しようとしたが、その全てがネルフ本部側の手に握られているのを思い知らされる羽目になってしまっただけであった。
「ネルフ…いや、ゲンドウめ。あくまで我等を阻むつもりか。やはり毒は毒をもって制するべきだな。」
 グリーンランド基地を飛び立った8機、バイコヌール基地を飛び立った9機の巨大な全翼機から翼を持つ巨大な人型のナニかが分離し、アラスカ基地を飛び立ったC5Aギャラクシー輸送機2機が空中で多数のパラシュートを放出した。
 突き抜けるような蒼い残照の中、戦闘は新たな局面へと突入しつつあった……。



福音という名の魔薬
第弐拾七話 終幕



 決戦の前半終了〜。何かネルフ本部が一方的に返り討ちにしてた気もするけど(笑)。
 今回の見直しと御意見協力は、きのとはじめさん、【ラグナロック】さん、峯田太郎さん、USOさん、八橋さん、犬鳴本線さん…でした。皆様、大変有難うございました。

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