鬼畜魔王ランス伝

   第92話 「妖しの街へ…」

 霧深い小暗い雑木林に申し訳程度に出来ているけもの道を、ランスたちはかきわけかきわけ進んでいた。
 ここまで来る間に“ざしきわらし”と“幸福きゃんきゃん”、更には“ゲイツ95”や“イカマン”と言った男の子モンスターまでも新たに仲間に加え、総勢15体にまで増えたランス一行は、今ではちょっとした小部隊と言う風情を見せていた。
 もっとも、イシスは壊れかけ、復讐ちゃんは使徒化儀式の影響で歩くのもやっと、きゃんきゃんや幸福きゃんきゃんに至っては戦力として計算する方が間違っている……などと言う状態なので、戦力的には実質ランス一人と言えない事も無いが……。
「おっ、今度は池か。ラッキー、ちょうど喉が乾いていたんだ。」
 涼やかな風の匂いに誘われて足を運んだ先には、小さな池があった。
「シィル。さっそく毒見しろ。」
「はい。物質調査!」
 池の水面ギリギリにかざされたシィルは、さっそく呪文を唱えた。
「……大丈夫です。毒とか危険な物はありません。」
「そうか、ご苦労。……ごくごく。」
 喉を潤して落ち着いたランスは、何となく周囲を見渡した。
「ん……あそこに何かあるな。」
 木の陰に何かがあるのを見つけたランスは、さっさと自分で確かめに行った。
「……死体か。高貴な俺様としては触りたくもないが、こういうのに限って重要な手掛かりを持ってたりするんだよなぁ。」
 溜息をつきながら死体漁りを始めようとしたランスは、ポンと手を打った。
「そうだ。お前ら、水を飲みたければ、今のうちに飲んどけ。」
 そう言いつつ、自分も腰に付けていた携帯用の水筒に水を汲んだ。
 水筒を満杯にし、ついでにもう一度口を湿したランスは、今度こそ死体漁りを始める。
「ちっ……こいつがもっと手軽に人間の姿になれるなら、俺様がこんな事をわざわざやらなくていいものを……。」
 らしい勝手な事をぼやきつつ懐を探ると、日記帳らしき帳面が転がり出てきた。
「これしかないのか……しけてるな。」
 ぶつくさ言いつつ日記を拾って読むと、そこには驚くべきと言うか胸がムカムカする事が記されていた。

 10月32日:少女は、俺の言う事をなんでも聞くようになった。
        俺が要求したらどこでも股を広げオナニーするようになった。
        俺のしょうべんすら喜んで飲むようになりやがった。
 10月34日:少女が妊娠していたのが発覚した。はらぼてでは面白くないの
        で殴って下ろさせた。
        さすがに泣きまくったが、ガキなど無意味な代物だ。
 10月36日:少女の様子がおかしい。
        意味不明な事を口走るようになってきた。そろそろ精神が壊れ
        てきたようだな。こうなるとあまり面白くない。
 10月40日:そろそろこの城を出ようと思う。少女にも飽きたしな。
        南の道が外に出やすいが、鬼ババァと血達磨包丁が邪魔だから
        西側から出る事にしよう。
 10月47日:明日は出発だ。少女の穴で遊ぶのも最後だ。とことん遊ぼう。
        そう最後だ。別に潰してしまってもいいさ。死なない程度に徹
        底的にいたぶってやろう。
 10月48日:少女が泣いて置いていかないでくれと叫んだが、顔が腫れ上が
        るまで蹴飛ばして出てきた。
        楽しかったぜ、この3年間。
        いいバカンスだった。

 読み終えたランス、そしてシィルは言い知れぬ怒りをフツフツと沸き立たせていた。
「……ランス様。」
「この日記の主はクズ野郎だ。こんな奴なんか、死んで当然だ!」
 ランスは、死体を蹴り飛ばし粉々に砕き壊した。
 しかし、こんな場所で骸を晒している訳はちょっと気になるので、ランスは日記の続きに目を通す。

 10月52日:雑木林をさまよって数日になる。道を間違ったようだ。
        城に戻る道も分からず、迷い続ける事になるとは。こんな事な
        ら南の道を行けば良かった。
 10月53日:昨日、不思議な物を見た。
        きつね達が集団で歩いていたのだ。さらに中央には女性がいた
        ような気がする。追いかけてみたが見失ってしまった。
        明日、もう一度探してみよう。

 そのページを最後に日記は途切れ、白紙のページだけが空しく続いている。
「がはははは。この馬鹿、きつねの嫁入りを邪魔して殺されたと言う訳か。自業自得もいいとこの死に様だな。」
 思い切り嘲笑してスッキリした所で、死体を触って汚くなってしまった手を石鹸まで使って念入りに洗い清めた。安物とはいえ天然素材の石鹸なので、水質汚染の心配はあまりない。……もっとも、この世界では天然素材の石鹸の方が安くて質が良いのであるが。
 当然だが、石鹸で手を洗ったりなんかすると、しばらく飲み水には使えない。それが、予め部下たちに水を飲ませておいた訳であった。
「がはははは。もう、ここには用はない。行くぞ!」
 身も心もさっぱりしたランスは、皆を引き連れて池のほとりを出発した。
 身から出た錆で我が身を滅ぼした馬鹿者を振り返りもせずに。


 一方、その頃魔王城では……
「何ですって! 魔王様が…魔王様が行方知れずに……」
 魔王ランスが不在の間、魔王城の全権を預かるホーネットが、
「はい。闘神都市オメガとリーザス城からの連絡では、転送途中の“事故”で行方不明になったとの事。」
 先程起こった重大事件の報告をようやく受け取っていた。
 事態があまりに重大な為に念話での通信は傍受される恐れがあって使えず、また、転送器もこの事故の直後では使用を躊躇われたが故の情報の遅れであった。
 そう。今回の情報はホルスの伝令によって運ばれたのだ。
「『なお、この“事故”を故意に発生させたと思われる連中については、現在捜査が進行中です。そう遠からぬうちに残らず処刑できると思われます。』……との魔人マリス様からの伝言でございます。」
 その言葉に込められた情報に、ホーネットは怒りを覚えつつも苦味を噛み締めていた。
 苦味の正体は、古今未曾有なまでに人間寄りの善政を敷いている魔王ランスに逆らおうという試みが、こうも頻繁に発生する事に対してである。
 こうも人間が盲目的に魔王の統治に反発するのであれば、『魔王リトルプリンセス様の御力による人魔共存』と言う目的の実現が、思っていたよりも遥かに困難な事だったのだと、ホーネットは改めて思い知らされていた。
 ホーネットがランスのものになると誓ったあの日、
 人魔共存の理想をランスと二人でいつか実現すると心に決めたあの日、
『無事でいて下さい、魔王……ランス様。』
 彼女にとって最も大事なモノは、父の残した『人魔共存』の理想論ではなく、
 今はどこの彼方におられるか分からない大切な大切な方になった。
 魔王の血と力と、人間の魂と優しさを併せ持つ、稀有の魔王……ランスに。
「全部署に連絡を! 我らが全力を以って必ず魔王様を見つけ出します!」
 幸いにも、魔王と深い処で繋がっている彼女ら魔人には、ランスが死んだり封印されたりしたといった衝撃は伝わって来ていない。
 文字通り、草の根を分けても探し出す覚悟でホーネットは総力戦を指示した。
 しかし……
「ん〜。チューリップ型レーダーにランスの反応がないから、多分大陸上にはいないんじゃないかな。」
 指示を聞いて集まったうちの一人、魔人マリアがチューリップ5号に密かに搭載していたランス探知機(魔王の血の波動を探知する装置。魔人や魔血魂も探す事が可能)で行なった捜索の結果を聞いて、がっくりとうなだれた。
「シルキィ、サテラ、手を止めさせてごめんなさい。作業に戻ってもいいわ。」
 と言われても、事情を知ってしまえば今更作業に集中できる訳もない。ランス捜索の為に何か自分にできる事は無いだろうか……と、二人ともその場で考え込みだした。
「ところで、マリアさん。その装置で魔王様の行方を突き止める事はできますか?」
「うう〜ん。無理だと思う。チューリップ5号が静止している状態でランスの魔力波が拾えないって事は、もしかしたら大陸上どころか、この世界からいなくなってるって事も有り得るんじゃないかな。」
 冷静な口調で語られるマリアの淡々とした説明に、皆の頭も段々と冷えていった。
 別に、マリアがランスを心配していない訳ではない。
 ただ、ランスとの付き合いが長い彼女は、心配する以上に信じているだけであった。
『ランスは、どんなピンチからでも笑って帰って来る。』
 と。
 なお、メナドとキサラはカラー族への援軍を率いて出撃したので不在。
 ワーグは(ランスの命が危ない訳ではなさそうなので)終始気楽に構えていたので、退屈そうに話をぷかぷか浮かべたラッシーに寝転がりながら聞いていた。
 そして、アールコートは……ランスが行方不明と聞いた途端に卒倒して、広間の片隅で倒れ伏し続けていた。
 結局、当分は打つ手が無い事を確認して会議は終了したが、ホーネットとメリムの二人はランス発見へ向かっての努力を開始したのであった。


 ランスの勘に任せて進んで行くと、行く手にぼんやりと大きな何かが見えて来た。
 霧が濃くなって来たので道も分かり難い状況なのだが、それは確かに建築物らしき影を映していた。
「ん……あれは、建物か?」
「ランス様、街だといいですね。」
 モンスター連れで街に入るのは少々マズイのであるが、とりあえずそれは考えない事にした。単純に、拙かったら、それはその時のこと……と開き直っているのだ。
 更に先に歩いていくと、辺りを包んでいた深い霧は強風に吹き払われて視界がハッキリと開けた。
「おっ、本当に建物だな。何かJAPANの城みたいだな。」
「はい、ランス様。ただ、あの城がJAPANのどこにあるのかまでは……」
「まあいい。あの城まで行けば、誰かいる。きっと、帰る方法も分かるに違いない。」
「はい。そうですね、ランス様。」
「じゃあ、行くぞ! しっかり付いて来いよ!」
 更に“やぎさん”と“たこやき”などを加え20体を超した一行は、一路見知らぬ城へと向かったのであった。

 その城は、周囲を大きな塀で囲まれていた。
 ランス達が、その大きな塀沿いを少し移動すると城に入る門が見つかった。
 幸い、門は大きく開いている。
「よし、門だ。入るぞ。」
 無言で肯くイシス。
「……わかった。」
 一拍置いて反応した復讐ちゃん。
 そして、わらわらと続くモンスターたち。
「しっかし、無用心な城だなぁ。門番もいないぞ。」
「そうですね、ランス様。」
 普通の城でモンスターがフリーパスで通れるなど考え難い……と、言うか有り得ない。
 今回のような場合、好都合なのは確かであるが。
「もしかして、誰もいないのか?」
 しかし、誰もいないのはちょっと困る。
「さあ。調べてみないと分かりません、ランス様。」
 適当な空き地に手勢を待たせると、ランスは単身で城下街の探索に乗り出した。

 まずは、空き地にほど近い場所にある寺らしき建物から調べ始める。
「まあ、お寺と言うなら誰か事情に詳しいヤツがいてもおかしくないだろ。」
 などと言いながら、勝手にずかずか上がり込んで家捜しを始めた。
 ついでに言えば、土足でもある。
 そうして、寺の中を探していると、妙な物を発見した。
 木で出来た切れ目の入った大きなレモン……とでも表せば良いのだろうか? とにかく独特な形状をした木製品が、そこにあった。
「なんだ、こりゃ。」
「……私、知りません。何か宗教的なシンボルか何かでしょうか?」
 ランスは、木で出来た謎の物体を持ち上げ、振り回してみた。が、奇妙な音がするだけで、とても正式な用途とは思えない。
「……違うな。なら叩く。」
 近くにあった木の棒で軽く叩いてみた。
<ぽく>
 すると、中が中空になっているらしく独特の音が響いた。
「おっ、面白い音だ。もっと叩くぞ。」
<ぽく ぽく ぽく ぽく>
 木の棒で謎の物体を叩きまくって楽しむランス。
「面白い音ですね、ランス様。」
 何か分からないので、止めようともしないシィル。……ま、ランスがソレを壊すような勢いで叩いてはいないからであろうが。
「そうだろ、では次は……」
 興が乗ったのか、更なる無茶な叩き方を試みようとするランスに、
「ヤメルノダ」
 物蔭から制止の声がかけられた。
「誰だ!? そこにいるのは!?」
 急激に高まる闘気にもめげず、声は更に言葉をつないでいく。
「ソレ モクギョ ランボヴ ダメ ヨクナイ コト」
 ただし、物蔭からではあるが。
「誰だ。文句があるなら出てこい。」
 ドスの効いた重低音の脅しに、物蔭の声もしばし黙り込む。
「どなたか知りませんが、出て来て下さい。ランス様が怒ると大変な事になりますよ。」
 シィルもまた、物蔭にいる相手に声をかける。内容こそ脅しに聞こえない事もないが、その実掛け値無しの忠告であった。
 が、しかし、それでもまだ黙り込んで出て来ない。
「ほお、出てこないか……」
 怒りにキレそうになったランスの魔力が高まり、
「炎の…」
 わざとらしくゆっくりと呪文を詠唱し始めると、流石に慌てた声が制止にかかる。
「イケナイ イケナイ テラ ダイジ ヤク イケナイ シンバツ オリル」
「なら、出てこい。」
 呪文を中断して改めて脅すランスの口元は、不敵な笑みを浮かべていた。
 元より神罰なぞ恐れていないが故の不敵さである。
「… ソレ イケナイ デラレナイ」
 明らかに当惑を伝える声音。
「何故だ!?」
「ワタシ ミナイ シアワセ ミル フコウ」
「そこか!」
 声を頼りに駆け寄ると、そこには
「ダメ デス」
 真っ白な面をした着物姿の輩が居た。
 目も鼻も口も無く、耳も髪も眉もない。
「お……」
 これには、さすがのランスもしばし言葉を失った
『……な、おばけ……おばけなの……』
 手に持ったシィルからも驚きの波動が伝わって来る。
「化け物か?」
「… バケモノ チガウ ワタシ ヨウカイ JAPAN ノ ヨウカイ ノッペラボウ デス」
「まあ、確かにモンスターじゃないみたいだな。」
 モンスターであれば、よほどの場合でない限り魔王の命令に逆らえるはずも無い。ランスの命令に従わず出て来なかっただけで、モンスターでないとする根拠には足りた。
「シィル、どうする。殺しといた方がいいと思うか?」
「いえ……そんなに悪い妖怪さんには見えないんですが。」
 自身が魔王であるランスと、魔人にして剣であるシィルであるだけに、ふたりとも早々と驚きから立ち直った。……まあ、魔王や魔人になる以前でも、さっさと立ち直れた可能性は高ったのだが。
「ワタシ ミテ オドロカナイ??  ソレ トテモ メズラシイ  ミンナ ニゲテク バケモノー テ」
「そんな弱者と一緒にするな。俺様は、英雄で魔王だぞ。」
 ランスは、胸を逸らして得意げに威張った。
「ところで、なぜ顔が無いんだ?」
 まあ、この際だから徹底的に情報収集に努める事にして、疑問に思った事をあれこれ問い質しておく事にした。
「ヨウカイ ダカラ ナイ カオ ナイ」
「妖怪ってなんだ?」
「ヨウカイ タマシイ ナイ  ソウ タマシイ ナイ  イクタノオモイ ウラミ ツラミ アイ … ニンゲン ノ カンジョウ ガ グゲンカシタ ソレガ ワレワレ ヨウカイ」
『ちっ、結構ややこしい理屈だな。口に出すのはしゃくだが。』
「ニンゲン ノ オモイ トテモ ツヨイ  ナニカニ ヤドッテ ヨウカイ ニ ナル ワタシ モ ダレカ ノ オモイ」
『う…ん……待てよ……と言う事は……』
「ソウ タマシイ ナイ イキモノ ト チガウ  オモイ ウスレルト キエテシマウ キエテシマウ」
「ところで、お前は俺様の敵か? 敵ならぶった斬る。」
「ヨノナカ テキミカタ バカリデハナイ ソノ カンガエ ヨクナイ ココロヒラク ヒラク ミンナ ナカマ トモダチ」
<ズバッ!>
「俺様に説教するとは、命知らずな奴だな。」
 のっぺらぼうは、目にも止まらぬ抜き打ちで哀れにも切り倒された。
 のっぺらぼうだったモノは、両断されてゴロンと床に転がった。
「ランス様、いきなりなんて酷いのでは……」
「やかましい。先手必勝だ。」
「タンキヨクナイ ヘイワ タイセツ ヘイワ タイセツ」
「うわっ……生き返りやがった(きつねといい、こいつといい、この辺りは俺様がただ斬っただけじゃ死なない連中の巣窟か?)。」
 それなら今度は……と、魔力を集中するランスを諭すように、
「ヨウカイ イキテナイ ダカラ シナナイ コンナコト シテモ ムダ」
 のっぺらぼうが説明する。
「無駄かどうか食らえ!」
 刀身から全身のエネルギーを吸い取られたのっぺらぼうは確かに消えた。
 が、それも僅か数分程度の間であった。
「ワタシ ハナシ シタイ  ニンゲン タスケタイ ソレ ワタシ ノ オモイ」
「ちっ、これでも死なないか。どうやら死なないのは本当みたいだな。ん、まてよ……」
 のっぺらぼうの見せた不死身ぶりが引き金となって、さきほど起こった事件と今までの説明とが繋がった。
「そうか!? きつねの野郎が中々死ななかったのも、あの女の子が消えちまったのも、だからか!」
「ナント デハ キツネノヨメイリ ヲ ジャマ デキタ ト イウノデスカ」
「おう。俺様は英雄だからな。がははははは。」
「アレ ハ キライナヒト ニ トツガサレタ ヒト ヤ サラワレタ ヒト ノ ヒツウ ガ ウミダシタ モノ  キエル デキテ ヨカッタ」
 説明から考えると、あの“きつねの嫁入り”は、無理矢理結婚させられたり誘拐されたりした人の悲痛な思いが櫛に宿って生み出された妖怪であろうと推測できる。
 そこらの下級の神なら瞬殺できるランスアタックをまともに食らってあっさり再生できたのも、相手が妖怪であると考えれば頷ける。……多分、きつねを全滅させたとしても、あの女性に助かったと思わせられなければ、ほどなく再生してきたのだろう。
 そう思うと、ちょっとだけゾッとした。
 敵が妖怪だった場合、相手の事を知らずに戦うと、思わぬ不覚を取りかねないと悟ったからである。
「さて、てめえの事だが……」
 未だに怒気が冷めやらぬランスを慌てて諭そうとするのっぺらぼうに向かって苦笑を返しながら、言う。
「別に、俺様の敵にならないなら良い(情報源には使えるだろうしな)。」
 殺し方が分からない以上は、利用した方が良い。ここらへんの割り切りの早さはさすがである。
 しかし、不愉快さが口調に滲み出るのはしょうがない。
「ワカリマシタ  ホカ ニ キキタイ コト アリマスカ」
 ピリピリとした雰囲気は、のっぺらぼうにも伝わったのだろう。極力丁寧な口調でお伺いをたててきた事で、ランスは“いきなりランスアタック”を撃つ用意を密かに止めた。
 最悪、寺ごと破壊する気だったのだが……態度が良かったので思い直したのだ。
「そうだな。ここはどこだ?」
「ゲンブシロ マジン ノ シト ガ ツクッタ イジゲンクウカン ニ カクサレタ シロ」
「異次元空間! 通常の場所じゃないと言うのか。」
「イジゲン クウカン デス ココ サラニ トキ ノ トマッタ バショ サビシイ バショ」
「(思ったよりもやっかいな場所だな)リーザスか自由都市か地図が分かる場所に行きたい。どう行けばいい、教えろ。」
「リーザス ジユウトシ? ゴメンナサイ ワタシ シラナイ」
「ちっ、知らないのか。もういい。聞きたい事ができたら、また来てやる。」
「ハイ ワカリマシタ」
 がははは…と笑いながら板敷きを土足でのしのしと歩き出ていくランスの姿に、のっぺらぼうは、ある注意を存在しない喉に飲み込んだ。
『コンドカラ ハ クツ ヲ ヌイデ オイデクダサイ』
 と。


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 はい。ランス世界での妖怪の解釈(公式設定)の伝達と共に、あそこで出て来た『きつねの嫁入り』が実は妖怪だったとの独自解釈の説明の回でございます。
 しっかし、ホー様、ランスを美化し過ぎ(笑)。
 のっぺらぼうの口調が読み難いのはご勘弁を。元ネタが、こういう口調なんで……。うう、書き難い(汗)。
 ではでは、次にてお会い致しましょう。
目次 次へ


読んだ後は是非感想を!! 貴方の一言が作者を育て、また奮起させます


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