鬼畜魔王ランス伝


   第134話 「選り取り見どり、やりたい放題?」

 魔王による魔王の為の人員募集オーディションの会場にて。
「ちっ、アナセル以降は全部スカか。思いっきり中出しできる娘がどっかに転がってないもんかな。」
 普通ならば二重の意味で転がっていないものであるが、今現在のこの場所では転がっていない理由の片方に関しては問題が無くなっている。
 オーディション参加者のほとんどが、意味ありげな募集要項の分かり易過ぎる行間をキチンと読んで覚悟を決めてきているからだ。
 故にランスがそこらで見かけた女の子を“審査”だと言い張ってエッチな行為に及んでも、たいてい楽勝で和姦に持ち込めるのだが……
 魔王となった今のランスが己の凶悪なまでに強大な気を抑え付けずに性交をしても精神を病んだり体調を崩したりしない心やら、たっぷりどっぷり思いっきり中出しをしても落命せずにいられる素質やらまでは事前の準備でどうにかなるものではない。
 身体の相性が合わない相手とエッチすると相手を害してしまうと言うランスにとって難儀な体質の原因が、魔王の力の大半を封印している副作用なのか、それとも魔王になったランス特有の性質に由来するのかは定かではないのだが。
 幸いにしてランスが肌を合わせれば手遅れになる前に見当がつけられるのだが、ここ23人ばかり続けてハズレを引いてれば愚痴の一つも出ようもんである。
 ランス自らが選んだだけあって美人揃い、粒揃いなのに、自分の方はイケないのだ。
 そりゃ欲求不満も溜まろうってもんだろう。
「くそ……いっそ、出せるって分かり切ってるのを捕まえてスッキリしようかな。」
 廊下のど真ん中でイラつきを表情に滲ませ煮詰まりかけてるランスに、扇を手に携えた黒っぽい軍服風の装束の女の子モンスターが敬礼をして通り過ぎようとする。
「お! ……お前、見ない顔だな。」
 冒険者時代だけじゃなく魔王城でも見かけた事の無い硬質の美貌を目の当たりにし、ランスの食指が動く。
「3日前に魔王親衛隊に配属されましたバトルノートのレミカです。」
「3日前って事はシャングリラから来た連中の中にいたって事か。」
 ハウセスナースが異世界に棲息しているモンスターを調査し、それを参考に新しく生み出したモンスター種族のうちの一部…女の子モンスターが各種1体ずつ…が魔王城に到着したのは書類上で知っていたランスだが、実際に見るのは今日が初めてだった。
 ランスでなくては始まらない仕事をオーディション前にできるだけ片付けておかなくてはならなかったので、普段なら見逃さないようなイベントでも後回しにできるモノは後回しにしまくっていた結果である。
「はい、そうです。」
「がははは。人間だけじゃなくて、たまにはモンスターも良いな。良し、相手しろ。」
 モンスターにとっては、魔王の命令は絶対である。
 特に魔王親衛隊に籍を置いてる者にとっては、ランスの発言は例え命令でなくても最大限尊重されるべきものとされている。
 故に……
「承知致しました。」
 女の子モンスターであるバトルノートの返事は『諾』しか有り得なかったのだった。
「そうと決まれば後はやる場所だが、ここらの部屋は空いてるかな?」
「この廊下に面した部屋は全て実習で使用中です。ただし、216号室はほどなく空くと思われます。」
「がははは。良し、そこにするか。……それにしても良くそんな事まで把握してるな。」
「情報収集と分析を得意としておりますので。」
「ふむ。他にも芸はあるのか?」
「戦略や戦術の知識を些か身に付けております。」
 些かどころか、2流どころの将軍や参謀では太刀打ちできないほどの智謀を種族的特性として生来身に着けているのがバトルノートというモンスターなのだが、会話だけでそこまで気付けるほどランスの勘は鋭くない。
「がはははは、じゃあやるぞ。」
 ともあれ、彼女が言った部屋から実習試験を終えた小グループが立ち去るのを見て、ランスは彼女自身の味見をしてみるのが先決だと開き直る。
「はい、ランス王様。」
 モンスター達が良く使う『魔王様』ではなく『ランス』と言う彼の名前を取り入れた呼び名を使ってるのに少しだけ感心しながらも、ランスはバトルノートを後に従えて部屋へと向かうのだった。



 ランスがバトルノートのレミカを相手にベッドの上で密着運動を始めた頃、リタ・シモンズと言う偽名でオーディションに潜入して情報収集に勤しんでいるウィチタ・スケートは、つい先程小耳に挟んだ最新情報に思わず大声を上げそうになったのを何とか他人に気取られずに我慢した。
『飛び入り参加者にゼス王女らしき人物が紛れ込んでるって!? まさかマジック様がいらしてるんじゃ!?』
 平時はマジックの護衛も務める彼女であるから、マジックがやりそうな事も幾らかは見当がつく。
 そのウィチタの勘では『マジックならやりかねない』と判断していた。
『迂闊だったわ。自分の潜入任務にかまけてマジック様の動きを見逃してただなんて。』
 とは言え……
『でも、今からマジック様と接触……いえ、下手に調べるだけでもお互い危険になるだけね。モンスターにも密偵能力を備えた連中がいるって分かっただけでも収穫と言えば収穫だけど。って、まだマジック様と決まった訳じゃないんだっけ。』
 下手に動けば自分の命だけでなく、更に大きなリスクを負いかねないと知ってしまったウィチタの掌は、じっとりと冷たく嫌な汗でびしょ濡れになってしまっていたのだった。



「あ……駄目で…す……イク、イきますっ!」
 白いシーツの上で、すらりとした肢体の美女…バトルノート…が無駄なく引き締まった体の男…ランス…に貫き攻められ、息も絶え絶えに乱れまくっていた。
「がははは、おら食らえっ!」
 そしてランスのハイパー兵器は、ようやく訪れた解放の時に悦び震え、遠慮無くたっぷりと白濁した粘液を胎内にぶちまける。
「あ…ああ……あ………」
 首筋にくっきりと残る噛み痕から血を吸われたおかげで官能が倍増したバトルノートの肢体が小刻みに跳ね、ぐったりとシーツに沈む。
 彼女がもはや気をやって動かないと言うか気絶したのをチラっと確認した後、ランスは天井を振り仰いで命じる。
「そこで見ているヤツ。新顔だな、出て来い。」
 すると、黒装束をまとった小柄な金髪娘が音も無くベットの脇に下り立つ。
「えっと……魔王のおじちゃん、呼んだ?」
 上目遣いでじっと見詰める少女…手裏剣使いと言う名の女の子モンスターにおじさん呼ばわりされ、流石のランスも少し傷付く。
 ちなみに彼女もバトルノートと同じくハウセスナースが異世界のモンスターを参考にして新規に生み出した女の子モンスターである。
「……せめて、おにいちゃんにしろ。」
「うん。」
「ところで、お前らの種族はそういう外見で大人なのか?」
 ざしきわらしなどの少女や幼女のような外見までしか成長しないモンスターもいる事から、この手裏剣使いもそうなのじゃないかと見当をつけて訊ねてみるランス。
「うん、そうだけど。」
『それじゃ、この外見でもバッチリできるって事か。さて、どうしようか……』
 しかし改めて検討するまでも無く、答えは決まり切っていた。
「がははは、じゃあ本当に大人なのかどうか確かめてやる!」
 おおよそ120pぐらいの身長しかない小柄な軽い身体をベッドの上に引き込んで、ランスはそのまま一気に黒装束を剥ぎ取る。
『む、割りとつるぺただし、アソコに毛も生えてやがらねぇ。見た目はいまいちだが、味の方はどうかな?』
 見た目相応の起伏に乏しい女体の敏感な部分を撫でて愛でながら、ランスはハイパー兵器で味見するタイミングを計るのだった。
 だが、案ずるほどの事も無かった。
「あ…おにいちゃん……すごっ…んっ!」
 ランスが敏感な所を軽く撫でてやるだけで、外見相応の幼い縦筋の奥からドロリとしたエッチな汁が充分滲み出してきたのだ。
「がははは、なかなか濡れ易くてグッドだ。褒めてやろう。」
 1分もしないうちに準備完了してしまう幼い肢体に微妙にそそられるものを覚え、ランスのハイパー兵器にパワーが充填されてゆく。
「お、おにいちゃん。そんなおっきいの入らないよ……」
「がははは、問題無い。そらっ!」
 甘い吐息に混じった泣き言に構いもつけず、小さな割れ目をハイパー兵器で無理矢理突き破る。
「あ! あああ!!」
 その瞬間、手裏剣使いの小さな身体はランスの腕の中でビクンと跳ね、紛れも無い悦楽の絶叫を上げる。
「入れただけでイッちまうなんざ、サテラ以来だな。……処女なのに。」
 手応えバッチリのハイパー兵器を半ば引き抜くと、紛れもない鮮血が愛液に混じって散見される。
 そのハイパー兵器を今度は思い切り奥まで押し込む。
「やっ、いっぱい、いっぱいっ!」
「うむ。全部入らないのは何だが、絞まり具合はなかなかグッドだ。」
 そして、初めての身体をいたわるのも忘れて激しいピストンを打ち込む。
「気持ち良い、気持ち良いよ……あ…壊れ……壊れちやう……」
「がはは、いくぞ!」
 ドクン!
 容赦なくぶちまけられると同時に、手裏剣使いの青い瞳が虚ろなガラス玉の如く焦点を失った。
「気持ち良いよ……気持ち良いよ……気持ち良いよ……」
 そして、壊れたレコードの如く同じフレーズをかすれた声で力無く繰り返す。
『拙いかもな、これは。早く医者に見せてやらんと。しかし、何でこいつに限って俺様の勘が働かなかったんだか。』
 仕方なく繋がったままの格好で小さな身体を抱きかかえ、ランスは最寄りの医務室へと急ぐのだった。


 服を着るのすら後回しにして医務室に慌しく駆け込んできたランスと、腕の中に抱かれている女の子モンスターを見て、大荷物が入っている行李を脇に置いた和装の女の子モンスターは開口一番こう言い放った。
「ん、なんじゃ。膣痙攣か?」
 まあ確かにそう見えなくも無い状態なのだが、事態はもう少々深刻だった。
「いや、違う。それより早くこの娘を診察してやってくれ。」
「分かったのじゃ。」
 手早く手裏剣使いに触診を施した橙色の和服の女の子モンスター…クスシの顔色がたちまち険しくなる。
「馬鹿者! 何で、こんなになるまでやったのじゃ!?」
 脈拍が弱まって文字通り息も絶え絶えになるほど疲労していると見立てたからだ。
「す…すまん。俺様もまさかこうなるとは思ってなくて。」
「……もう良い。治療するから出て行って貰えるか?」
 思わず怒鳴りつけてしまったものの、まさか魔王ともあろう者が頭を下げるとは思ってなかったクスシは面食らいつつもランスに退出するよう頼む。
「ここで見てては駄目か?」
「少なくとも、その格好では駄目じゃ。」
 裸の上、色々な体液塗れでは流石にバイキンやら何やら色々と怖いのだ。
「分かった、よろしく頼む。」
「任されたのじゃ。」
 当初思ったのより遥かに物分り良く医務室を出て行くランスの背に声をかけたクスシだが、ほどなく手裏剣使いは彼女の薬の腕をもってしても手に余る患者だと判明した。
 生気を失い本性である人形に戻りかけているせいで、薬を受け付けてくれないのだ。
 それどころか……
「困った……儂の薬が効かないどころか、はりまおー殿の針治療も効かないとは。これでは、魔王殿に合わせる顔が……」
 針治療を得意とするはりまおーも匙を投げるような状態では、この医務室……いや、このラング・バウ城内にいる医者を手当たり次第かき集めたとしても打つ手が無い。
 だが、クスシはそこでハタと気付いた。
「そうじゃ、その手がある! ……じゃが、魔王殿が手伝ってくれるじゃろうか?」
 例え人形であろうと効き目がある希少な薬剤の存在に。
 思い立ったが吉日と早速ランスを探しに医務室を出て……直ぐに目的の人物を発見したクスシ。
 ランスが服や装備一式を持って来させて廊下で着替えて待っていたのを足下の汚れたタオルの存在から察し、クスシは第1印象を少々上方修正する。
「魔王殿、実は頼みがあるのじゃが。」
「なんだ?」
「魔王殿の血を少々分けて欲しいんじゃよ。あの娘を助ける為にな。」
「よし、分かった。幾ら要る?」
 躊躇無く即答で承知したランスの態度に、当初抱いた悪印象が完全に払底された。
「あ、いや……済まぬが今のままでは儂らの手に負えそうも無いので、魔王殿に使徒にして貰えないかと思っての。」
「がははは、良いぞ。」
 またもや即答。
 しかも、
「そうと決まれば急ぐぞ。」
 制止する間も無く医務室に駆け込むランスの真剣な横顔に、クスシのハートがドキンと跳ねる。
「ちっ、時間がねぇか。」
 慌てて後を追って部屋に入ったクスシの目の前で、ランスが腰の桃色の剣を引き抜き己の左手首を浅く斬って付着した血を手裏剣使いの口の中に滴らせる。
「あ……」
 途切れかけ停止しかけていた人形の生命に新たな息吹が流し込まれ、朦朧とした状態ながらも再び青い瞳を開く手裏剣使いにランスが優しく語り掛けた。
「がははは、どうやら気がついたか。で、俺様がお前を使徒にした訳なんだが、どうしても嫌ならそう言え。」
 嫌なら責任をもって俺様が壊してやる。
 続きの言葉を口の中に飲み込んだランスをつぶらな瞳で見上げて、金髪の幼女の姿をした女の子モンスターの使徒は呟くように、それでもハッキリと答えた。
「ありがと…う。魔王のおにいちゃん……」
 そこまで言って再び医務室のベッドに身を任せるが、今度は機能停止ではなく使徒化儀式が身体に馴染む過程での不調ゆえだ。
「どうやら峠は越したようじゃな。もう大丈夫じゃ。後の面倒は儂らでも見れるゆえ、魔王殿は心置きなくお楽しみを続けられよ。」
 再び生けるモノとなったのなら彼女のヒーリングや薬で十分歯が立つと判断したクスシは、助太刀を頼んだランスに頭を下げる。
「本当に感謝してるのじゃ、儂だけでは手の施しようもなかったからの。」
「がははは、感謝してるんなら身体で払って貰おうか。」
 今にも押し倒しそうなランスをそっと両手で押し止めるクスシ。
「ま…まだ駄目じゃ。峠を越したとはいえ、あの娘は未だ目を離して良い状態とも言い難いのじゃからな。」
 万一、容態の急変に対応し損ねたら申し訳無い。
「がはははは、分かった。」
 そんな医療関係者の矜持とも言うべき態度に、ランスも一時撤退を決める。
「ところで、名前なんて言うんだ? 俺様の見た事の無いモンスターだが。」
「儂の名か? 儂の名前はクスシ族の薬重じゃ。クスシ族はウェンリーナー様に最近生み出していただいた種族じゃから、魔王殿が知らなくても無理は無いと言うものじゃ。」
「そうだったのか。ちっ、帰ったらマメに研究所を覗いてやろうかな。」
 などと言いつつ医務室を去るランスの背を見送るクスシ。
 その彼女が、ハウセスナースが最近生み出した種族である手裏剣使いの治療法を……つまり、壊れるに任せて後でガーディアンメイキングの技能を持つ者に修理してもらえば良かったのだと知るのは、オーディションが終わって魔王城に帰還してからの事だった。


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 続きを楽しみになされていた方々、大変お待たせ致しました。
 なんか筆が乗らなくて……と言うか、つくづく日常っぽい描写は苦手なんだと思い知る今日この頃。……いや、好きなんですけどね(笑)。
 てな訳で、次も恐らく早くはできないと思います。どうか、御容赦を。

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