警告!
 
 
この物語には 不快な文章・表現が含まれています  
使用中気分を害された方は 直ちに使用を中止して下さい
 
 
なお、この物語は USO・きのとはじめ・T.C様 の皆様の作品と世界観の一部を共有しております
 
 

 
 
 
綾波レイは唐突に 自分が夢を見ていることを自覚した。
 
夢の中ならではの、ふわふわとした感触。身体が重力を感じきれていない。
 
目には鮮鋭に物が見えるものの、視界が狭い。
伸ばした手指はしっかり見えるが、辺りの景色は霞んでよく見えない。霧のなかにいるかのように遠くのものが見えないのだ。
 
夢の中のレイが立っている場所は、瓦屋根のついた白塀に囲まれた地面が剥き出しの広場である。寺の境内のようにも、日本式城郭の縄張りの一部のようにも見える。
 
レイが歩くと、その歩いた距離に応じて視界が広がっていく。
相変わらず遠くにあるものは良く見えないのだが、歩いて近寄ればぼんやりと見えていたモノの形が定まり、レイの目に見えるようになる。 
 
(この感覚‥どこかで感じたことがあるの‥)
 
レイが感じている感覚はデジャ・ビュー(既視感)ではなく、実際にあった架空の体験。
学校帰りに立ち寄ったゲームセンターで、同級生たちと一緒に体感式射撃ゲームを遊んだ時の記憶が残っているのだ。
 
 
 
(‥‥夢は、どうしたら醒めるのかしら)
 
暫く朦朧としつつ立っていたレイだが、前の方から何やら物音が聞こえてきたので そちらへふらふらと歩いて行った。
 
 
 
 
 
壁際の地面は 流れ落ちる汗によって黒く染まっていた。
ただし泥と化してはいない。地面は水分の吸収を拒むほどに固く踏みしめられているのだ。
 
レイの目の前で、8歳か9歳か そのぐらいの年頃の男の子が大汗を流しながら動いていた。
 
決められた位置から位置へ、短いが相当に運動量の大きな動きで一定の動作を繰り返していく。
見れば分かる。武術の型稽古だ。だが‥
 
「‥‥もうやめなさい」
 
男の子の息は乱れ、手足は縺れ、体幹の動きも振れてしまっている。
汗の量から見ても、明らかにオーバートレーニングだ。
 
人体は 痛めつければ強くなる とゆうものではない。
過度の運動は心身を損ねてしまうだけだ。
レイ自身も過度の訓練を教官たちに叱られてしまうことがある。
 
『我慢をするな』 『辛ければやめろ、苦しければやめろ』 『辛いのは間違った訓練をしているからだ』 『苦しいのはどこかに無理があるからだ』 『動作の意味を考えるんだ』 『ノルマを課すな、ルーチンワークを持ちこむな』
 
教官たちの言葉に最初のうちは戸惑ったが、今では納得している。
 
いつ出撃命令が出るかわからないEVAパイロットは、常に最善の体調を維持していなくてはならない。過度の訓練による捻挫や腱鞘炎や筋肉痛を起こしている余裕などないのだ。
 
 
なによりも 本当に有益な訓練とは楽しいものなのだ。夢中になれるほど面白く嬉しいものなのだ。
訓練は辛く苦しいもの‥ とゆう観念は正しいとは言えない。
 
 
だが、目の前の子供はどう見ても楽しそうには見えない。
この子の訓練方法は間違っている。
 
 
「‥やめなさい」
 
再度声を掛けるが 男の子は背を向けたままレイを無視している。
 
息を乱したまま、型稽古を続けようとする男の子の肩をレイは掴んだ。
 
「やめるのよ碇君!」
 
無理矢理振り向かせた男の子の顔は、シンジそっくりだった。
 
 
               ・・・・・
 
 
2015年7月28日 午前7時03分
NERV本部 赤木博士の私室 
 
 
「そこで目が覚めたのね」
 
「はい」
 
技術部だけでなく、作戦部・医療部・公報部など複数の部署に強力なコネを持ち、NERV本部の実質的な支配権を握る人物。
それが赤木リツコ博士である。
 
本部職員たちから色々な意味で怖れられている人物だが、彼女とて一人の人間である以上は温かい感情や柔らかい部分は持ち合わせている。
他人には、それらの部分を見せようとしないだけだ。自我を護るために人が行う行動、その一例である。
 
その自我防衛策が適応されない数少ない存在の一つ‥ 綾波レイは只今
彼女が今朝方みた気がかりな夢についてリツコに相談しているところである。 
 
「夢の意味‥か。 カウンセラーか占い師の職分ではあるけど」
 
と言ったきりで 後は沈思黙考中のリツコに代わり、隣でレイの夢語りを聞いていたミサトが夢判断を始めた。
 
「そうね〜 あくまでも一般論だけど、夢の中に出てくる人物は『夢を見ている人』自身でもあったりするのよ」
 
「‥‥夢に出てきた碇君は、『私』なのですか?」
 
「レイでもあるし、レイの中のシンジ君のイメージでもあるわ」
 
「‥‥よく解かりません」
 
「解かんなくて当然よ〜 人の心は『ロジックじゃない』んだもの。
でも、夢に出てくるとはね〜 シンジ君のアタックも報われるときが来たわね♪」
 
「ミサト、飛ばしすぎよ」
 
「そ、そう?」
 
「レイがシンジ君を気にしているのは確かだけど、何でもかんでも恋愛沙汰に結び付けようとしないで頂戴。
‥想像力の貧困か、さもなくば欲求不満だと思われるわよ」
 
「へいへい。 で、リツコ的にはどう解釈する訳?」
 
そうね‥ と赤木博士は懐から禁煙パイプを取り出して咥えた。数秒ほどの時間をかけて言葉を選び、話し始める。
 
 
「ユング派の説によれば、人の心は奥底で繋がっているそうだけど‥ この第三新東京ではそれは一面の真実でもあるの」
 
「リリス‥」
 
「そう。 ジオフロント最奥部に拘束された原初の存在、リリス」
 
 
 
ここで再確認したい。 
ATフィールドは機械的には観測されない。 直接的には 機械で計測することは出来ないのである。
読者諸兄は これまで作中においてATフィールドの推定強度なる言葉は散々聞いておられるであろうが推定は推定。 直接計測したわけではない。
 
 
ATフィールドは 内向きと外向きに分類できる。
 
外向きのATフィールドは 滅茶苦茶乱暴に言えば『内部で物理法則を歪めることができる防壁』である。 
勿論それだけではないが、そのように見えるし、公開予定の資料にはそう書いてある。
 
内向きのATフィールドは 同じように物理法則を歪めることが出きるが、障壁としては使えない。
その代わりに、外部からのものを入れることができる。また、外向きのATフィールドよりエネルギーコストが格段に低い。
 
話を戻すと、推定ATフィールド強度は外向きのATフィールドが空気を震わせて発生する音(PHサウンド)から推定されるのである。
また強力な外向きATフィールドが障壁として働く際に、多重同心六角形もしくは八角形の光の波紋が表れることがある。光の波紋の明るさや色彩などからも、ある程度強度が割り出せる。
 
一方、内側向きのATフィールドは 機械では観測されない。つまりは今この瞬間、自分が何者かの内向きATフィールドの中にいたとしても それを知る手段は無い。
 
数少ない例外として 自らもATフィールドを使う者ならば直感的な感覚によってATフィールドを察知できる。
 
 
そう、ジオフロントもその上の第三新東京市も 全てはリリスのATフィールドに包まれているのだ。
 
 
現在のリリスには 意志もなければ知性もない。 
力の源であるコアもない。十字架に縫い止められLCLの原液を垂れ流す肉の塊でしかないのだ。
だが、使徒やEVAなど比較にもならぬ程強大な、そのATフィールドは第三新東京周辺全域を覆っている。
リリスの意志が覚醒していないために、他のATフィールドに干渉していないだけなのだ。
 
 
 
長々と述べたが、第三新東京周辺の一帯がリリスのATフィールドによって包まれている 言わば結界であることを理解していただけたであろう。
 
そして、零号機と初号機の二体のエヴァンゲリオンを除けば 最もリリスに近い存在が綾波レイであり、その綾波レイに最も近しい存在が碇シンジなのである。
 
いや、時系列から言えばレイの方がシンジに似ているのだが。
 
微弱とはいえ人間にもATフィールドがある以上、リリスの結界から影響を受けることになる。この場合はレイとシンジの間にリリスを経由して無意識レベルでの共感が有ったと考えることもできる。
 
 
「レイ、貴方はシンジ君に近いの。おそらく貴方が感じている以上にね」
 
「‥だから、接触を控える必要があったのですね」
 
「ええ。 どんな影響を受けるか分からないもの」
 
「もっとも、もう影響受けてるみたいだけどね〜♪」
 
「だからねミサト‥」
 
僅かに俯いて女たちの会話を聞いている少女の頬は、うっすらと紅く染まっていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
       新世紀エヴァンゲリオン パワーアップキット 第一部
                鋼鉄都市 第六章 前編
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
第三新東京市 地下 ジオフロント地表部
 
 
ジオフロントの地表部には森がある。それも豊かな生態系を持つ原生林が。
森の奥にはツキノワグマの亜種と思われる小型の熊すら生息しているほどだ。
 
なぜ地下に原生林が存在するのか?
NERV関係者による植林の結果‥ ではない。
これほどの森林が15年や20年でできる訳はない。
と、なれば答えは一つ。
ジオフロントの森は箱根の地下に、少なくとも数百年前から‥ 大空洞が発見される前から存在するのだ。
 
 
 
その森の端にある散歩道を ランニング姿の老人が走っていた。
老人は年齢のわりには肌艶も良く、動作も若若しい。
 
そして その老人を取り囲むように10人ほどの黒服を着込んだ厳つい大男たちが並び、走っていた。
 
「‥なにか誤解があるようだが、私はまだ還暦前だ。 碇とは9しか違わんのだよ」
 
ランニングシャツにジョギングパンツ姿の老人‥ もといNERV副司令冬月コウゾウは、彼の周りを囲む人の壁‥一緒に走る黒服の保安要員たちへ苦情じみた言葉を洩らした。
 
「保安上の問題です。副司令の身になにか有っては一大事ですから」
 
「‥ジオフロントの中でまで装甲リムジンに乗って動けと言うのかね?」
 
とゆう、冬月の皮肉に
 
「はい。できれば本部の構造物内でも、そうして頂ければ助かります」
 
黒服の保安要員は真顔で答えるのであった。
 
 
 
 
黒服たちを引き連れた朝のジョギングを済ませて本部の宿舎まで帰ってきた冬月は、浴室のタライに張った水で汗を流し着替えた後 朝食の準備を始めた。
朝食の献立は麦を三割入れた飯に葱とワカメの味噌汁、昨日の夕飯の残りである筍の筑前煮と大根の漬けもの だけならごく普通なのだが‥
 
和食には不釣合いな なにやら恐ろしげな色合いのどろりとした液状物質がジョッキ一杯分付いている。
 
これは オカラ200グラム 牛乳200ミリリットル 生鶏卵6個 バナナ一本 蜂蜜大匙3杯 麦芽少量 カルシュウム剤10錠 をミキサーに掛けて攪拌したものである。
 
冬月はその液体を ぐびぐびと飲み干した。
 
 
 
 
「ふむ‥ まあ、こんなものだろう」
 
手早くあと片付けを済ませた老人はスーツを着込み、出勤する。
 
NERVカードを使って電子ロックされたドアをくぐること三回。
無人ゲートで声紋・網膜等のチェックを受けること二回。
保安要員の詰め所を通り越えると 司令室である。
 
 
 
第三新東京市 ジオフロント地下 NERV本部 司令室
 
 
これまで特に機会がなかったが故にはっきりと語られていなかったが、この物語においてはネルフ総司令である碇ゲンドウが執務を行う部屋‥つまり司令室‥は 地下にある。
ジオフロントの更に地下、地面の中にあるのだ。
 
無論のこと 床面積が異様に広く、その割りに天井がやたらと低い などとゆうような間取りにはなっていない。 
天井に大きく 光るセフィロト(生命の樹)の図が描かれているわけでもない。
 
ゲンドウの執務室は一部を除けば、ごくありふれた構造なのだ。
間取は縦横15メートル、天井までは約3メートル。大き目の教室程度のサイズである。
 
机上で牛の解体ができそうな程に巨大なゲンドウの執務机と、秘書用の机、そして応接セットが主な備品だ。
もっともソファーが並べられた応接セットは まだ一度も使われたことはない。
 
秘書用の机は秘書がいないので やむなく冬月が使っている。 
 
 
普通の執務室には絶対にないものとは、ゲンドウの椅子の後にある壁である。
より正確に言うなら 一枚板のガラス(正確には超強化テクタイト)の壁越しに見える 第7ケイジのLCL槽に浸かるエヴァンゲリオン初号機だ。
流石に これは世界に一つしかあるまい。
 
正直言って、何故に実質初号機専用となっている第7ケイジと司令室とを隣接させねばならないのか、冬月には理解できない。
設計者を心行くまで問い詰めたい と思ったこともあるが、最早この世にいない者に訊くわけにもいくまい。
設計者の記憶を受け継いでいるであろう名目上の上司に聞けば分かるだろうが、今更訊く気もない。
『ユイの手で捻り潰されるのなら本望だ』とかゆうような、甘ったるい理由だったりしたら嫌過ぎる。
 
 
司令室の公式な出入り口は三箇所。冬月がたったいま入ってきた同階の入り口とゲンドウの机の横にある個人用エレベータ、そして仮眠室へと通じる通路だ。
 
 
冬月は仮眠室へと入った。
この部屋は文字通り仮眠を取るための部屋だったのだが、改装を施して幾つかの部屋を建て増してある。
仮眠室、洋式和式の二つある水洗便所、お茶を入れるだけでなく簡単な調理もできる給湯室、高級ホテル並の設備が整えられた浴室、洗濯機と乾燥機が据えつけられた洗濯室、そして運動不足解消を目的とするトレーニングルーム。
 
 
 
 
碇ゲンドウは 鍛錬室(トレーニングルーム)でロードランナーを使っていた。
人が乗れるベルトコンベアに手すりが付いた機械の上で サウナスーツを着込んだ大男が黙々と走りこんでいる。 
勿論、サングラスは装着したままだ。
 
ゲンドウは冬月と違い野外を走らない。それ以外の運動も、全て室内で一人黙々とこなす。
まあ、保安部の仕事を増やさない とゆう意味もあるかもしれないが。
 
 
冬月はロードランナーの制御盤を覗いた。速度設定は15キロだ。
 
冬月は摘みを回して 18キロまで上げてみる。
ゲンドウは顔色一つ変えずに走る速度を上げてついてきた。
 
20キロまで上げてみる。
やはり 何事もなげに走っている。
 
25キロまで上げる。
ゲンドウの巨体は一瞬後に流れたが、すぐに元の位置に戻る。
 
どんどん上げて30キロ。
相変わらず走りつづける髭面の大男。
 
35キロ。速度はもう上がらない。
 
「なんだ、こんなものか」
 
「人間の限界速度がそのあたりですからな。それ以上の性能は過剰品質でしょう」
 
などと言いつつ平気な顔で走り続ける髭男。
そのまま2分ほど走ってから、ランニングを終える。
 
 
「十日余りでここまで使えるようになったか‥最短記録だな」
 
「この程度のことが出来なくては、話にもなりませんよ」
 
感心する冬月に、その名目上の上司はあっさりと返した。 
 
 
 
 
日課のロードワークを終えたゲンドウは、サウナスーツと自分自身を洗ってから着替える。
司令室に向かった頃には、冬月は既に書類仕事を始めていた。
 
 
一部とはいえ、副司令が総司令の秘書役をこなしている とゆうのは問題である。
ゲンドウが秘書を雇えば事務処理の問題は解決するのだが、新たなる問題としてゼーレと『G』のどちらかのスパイしか雇えない とゆう困った現実がある。
 
現状では 信用できる人間‥ゲンドウや冬月の個人的な知り合い等‥を秘書に雇っても
翌日にはどちらかの組織によって洗脳されるか、あるいは外見では判別できない別人(そっくりさん)と入れ替えられてしまうか のどちらかなのだ。
 
結局 機密保持のためには、ネルフ総司令本人が書類仕事をするのが一番なのである。
 
まあ、秘書を雇わない一番の理由は ゲンドウが人付き合いを嫌がっているだけの事なのだが。
 
 
 
 
 
 
1時間足らずで、大方の書類は片付いた。
 
 
「保安部の業務を一部とはいえ、民間企業に任せるのか?」
 
最後の一枚を手に取った冬月の不審げなもの言いに、ゲンドウは静かに返す。
 
「『私』のコネで呼び寄せました。ある程度までは信用できる者達です。実力も高い」
 
「傭兵としては、だろう?」
 
 
 
かのマキャベリの著書を紐解くまでもなく、傭兵とは頼りにならぬ戦力である。
 
 
 
まず、第一に 信用できない。
 
金で買える忠誠は、より高い値段をつけるものに容易く売り払われる。
 
 
 
そして、金が掛かる。
 
傭兵は部隊を維持していくだけで、予算を馬鹿食いする。
『戦うこと』以外に生活基盤を持つ屯田兵や、国民の義務として兵役に就く国民兵と異なり、傭兵は必要経費とは別に、傭兵自身へ高額の報酬を支払わなければならない。
 
 
 
なによりも、弱い。
 
報酬に釣られた兵隊は、練度を維持する積極的な理由に欠ける。
なにしろ、不利になったら逃げてしまえば良いのだ。
 
ごくごく稀に 高い技量と錬度を持ち、契約に忠実な傭兵部隊も存在するが‥
それでも君主や故郷や国家等(たとえそれが幻想でしかないとしても)なにか『信ずるに足る存在』と生死を共にする覚悟を決めた、本物の兵達には及ばない。
どうしても最後の所で踏ん張りが効かないのだ。
 
結局、人は金銭(かね)の為に人を殺せても 金銭の為に死ぬことはできないのだろう。
 
 
では、何故故に傭兵なるものが戦場に存在し続けるかと言うと‥
 
信用については、雇い主に資金と実力が有るうちは命令に従う分、叛意満々な国内の有力者よりは傭兵の方がまだマシである訳だ。
 
費用については、信用できる兵達を養成するまでの場つなぎとして雇われることが多い。やる気だけは有る(やる気しかない)未熟な兵が、戦うたびに死んでいくよりは戦なれした者達を雇い続ける方が良いのだ。
 
戦力的には、麻薬や賄賂に汚染された 弛緩しきった名ばかりの正規軍よりは、報酬に目が眩んだならず者集団の方が まだ頼りになるとゆうものだ。
 
 
要するに傭兵とは 時と状況によっては役に立たぬこともない戦争の道具 である。
さほど有効とは言えないが、百害あって一利なし とゆうほど酷くもない。
使い方次第なのだ。
 
全般的に 費用の割りに効果が薄いのが困りものではあるが。
 
 
 
「それにしても、人数が多すぎはせんか?」
 
「人手が足りないことには、どうにもなりませんよ」
 
 
権力・財力・暴力‥ どのような形を取るにしても『力』こそが全て。
『力』無き者には生きる資格すらない。 それが、この悪しき世界の真実。
 
ゲンドウが呼び寄せた傭兵たちは、彼らが生き残る為に必要とする力を 
いくらかでも上げてくれる筈だ。
 
 
 
二人の会話が終るとほぼ同時に、タイミングを計っていたかのようにゲンドウの執務机のランプが灯った。ヴァーチャル通信システムが起動しているのだ。
 
「‥‥レディ・ラクウェルだな」
 
通信システムの画面に出た発信者の名前とナンバーは、NERV最大の出資者のものである。
 
「ハート家の当主からか? 珍しいな」
 
これまで 資金の無心等でゲンドウからラクウェルに繋ぐことはあっても、ラクウェルの方から繋いでくることは無かったのだ。
 
「冬月、あとを頼む」
 
「うむ」
 
ゲンドウは椅子にもたれかかり、目を瞑ったまま通信スィッチを押して、仮想現実空間へと意識を滑らせた。
 
 
 
               ・・・・・
 
 
第三市立第一中学校 2年A組の教室
 
 
こんにちは 碇シンジです。
 
僕は今、とっても眠たいです。
第四使徒戦の後片付けも始まって、学校も今日から授業再開なんだけど‥
なにが悲しくて『セカンドインパクト物語』を聴かなきゃいけないんだろう。
僕は今日で二回目なんだけど‥はっきり言って一回で充分だよ こんなの。
 
皆よくも毎回聞いてられるもんだ と感心しちゃうよ。
 
 
まあ、トウジは寝てるけどさ。
 
ケンスケは授業用の端末を弄くっているし。
 
洞木さんは次の教科の宿題を片付けているみたいだ。
 
綾波は‥ 頬杖ついてガラス窓ごしに外を眺めている。
 
あ〜 可愛いなぁ〜
‥て 綾波の顔を眺めてたら、綾波が頬杖外してこっちを見た。流石に気付いたみたいだ。
 
 
一瞬目が会ったけど すぐに ぷいっ てそっぽ向かれちゃった‥‥
 
あああああああ‥‥ やっぱり嫌われてるよ〜
 
鬱だ‥
おかげで目は覚めたけど、ちっとも嬉しくない。
居眠りする気も起きないよ。
 
 
‥‥今日、学校休んだほうが良かったかな。
 
 
 
 
 
 
次の授業は体育だ。
男子は運動場でサッカー、女子はプールで水泳。
‥‥差別じゃないのか? これは。
 
いいな〜 プールは涼しそうで‥
実を言うと僕、球技は苦手なんだよね。どうも雑念入っちゃって。
 
 
 
ぼ〜〜 と、運動場端の土手に座ってプールの方を見ていたら トウジとケンスケが寄ってきた。
 
「なに見とんねん‥ と、綾波に決まっとるか」
 
プールサイドの同級生たちを眺めるトウジ。
本日の小発見。鼻の下って、本当に伸びるんだねえ。
 
「皆‥ええ乳しとんのぅ‥」
 
‥‥頼むから、人の傍に寄ってきてそうゆうこと言うのは止めてくれませんかジャージ君よ。僕まで同類だと思われるじゃないか。
 
え? 健康な中学生として当たり前の反応だって?
 
「正直になれよ碇、興味あるんだろう?」
 
「そやそや」
 
「「綾波の胸! 綾波の尻! 綾波の太腿! 綾波のふくらはぁぎぃ〜!」」
 
鼻息を荒くして詰め寄るな二人とも。
 
 
 
‥‥まあ、確かに綾波の身体は綺麗だねぇ。
 
違うって。スカしているんじゃなくって、綺麗すぎると感動の方が先にきちゃって下半身に血が行かないだけだよ。
 
 
え? ならミサトさんはどうなんだって‥?
ダブルスコアの年齢差があるとどうもねぇ‥ それに僕個人の趣味からするとE〜Fカップの胸はちょっとねえ。
いや、グラマーも悪くはないけど個人的にはスレンダー体型のほーがより好みだってことで‥
ミサトさんの場合は、ぎゅ〜〜って抱きしめられると窒息しそうになるしさ。
 
 
贅沢者? いっぺん交替しろ? いえしてください?
 
‥‥泣くなよトウジ。
 
 
ミサトさんとの同居って そんなに羨ましいものかなぁ。
いや、確かにご飯は美味しいけどさ。
 
 
               ・・・・・
 
 
第三新東京市 郊外 NERV付属病院
  
 
その男は 道に迷っていた。
人生の岐路に立っているわけではなく、いわゆる迷子とゆうやつだ。
 
「ええい、なんでこうも意味も無く広いんだ」
 
いらつきつつ外科病棟の廊下を歩いている男の身体は、徹底的に鍛えこんだものである。
 
 
この付属病院は本部内にある病院と同じく、NERVの一部所である医療部が直営している。
第三新東京周辺は、突如として万人単位の傷病者が出ても対応できる設備が整えられている。もっとも普段から人員を待機させておくと労力の無駄になるので、この病院のように普段はあき部屋だらけで人が殆ど居ない病院も有ったりする。
だが、いざ事態が起きれば6時間以内に数千人の医療スタッフが第三新に集まる態勢が整えられているのだ。
 
 
人気の少ない院内をうろつく男は、タイ王国の伝統武術であるムエタイの使い手であった。半ズボンの裾からのぞく、黒光りするまで叩き上げられた脛を見れば一目で分かる。
一見細身に見えるが、贅肉が一切付いていないが故にそう見えるだけなのだ。
 
この男の名は 仁科ユキト 27歳。
シンジに試合を申し込んだものの相手にされず、結局は苛立ったミサトによって一蹴されてしまった あの格闘家たちの一人である。
 
一緒に来た仲間たちは 全員この病院で寝こんでいる。
仁科だけが、幸運にも掠り傷だけですんだのだ。
 
「‥エヴァチャイルドが、あれほどのものとはな」
 
対戦相手の少年の年齢よりも、仁科たちが積んだ修行は長い。
だが全くと言って良い程に敵わなかった。その保護者である葛城ミサトには歯牙にもかけず蹴散らされた。
いったい何が違うのだろう。 技術か? 環境か? それとも素質か?
 
考えこんでいるうちに、病室前に着いた。
 
 
 
こんこん と開きっぱなしのドアを手の甲で軽く小突いてから、仲間たちの病室に入る。
 
「仁科です。手ぶらで悪いですが、見舞いにきましたよ」
 
返事がない。 いや、かすかにうめき声が聞こえる。
仁科はベッドのカーテンを引いた。カーテンの向こうの光景に驚愕の声をあげる。
 
「湯川さん?! 浅沼さん!?」
 
湯川と呼ばれた肥大漢(柔道男)は、ベッドの上に横たわり両手両足が奇妙な方向に捻じ曲げられていた。肋骨が折れているのか口からピンク色の泡を洩らしている。うめき声の主は彼だ。
浅沼と呼ばれた(口髭)男は、頭蓋骨を割られ耳鼻から血を流し床に倒れている。
 
 
「いよう お前さんが最後の一人かい」
 
不意に、仁科の背後から声がかけられた。
振り向くと、戸口に見知らぬ男が立っている。
年齢は三十代半ば程の、大柄な体躯。鍛え上げられた筋肉が黒いスウェットの上下を布地の下から持ち上げている。足元はカンフーシューズだ。獅子のたてがみを思われる乱れた長髪をなびかせている。
 
男は 一目見ただけで『強い』ことを納得させてしまう、強烈な気配を身にまとっていた。
だが、なんと言うか 暗い。
仁科の仲間たちや、興行格闘技のスターたちの肉体が 陽 であるとしたら、この男は間違いなく 陰 の属性の持ち主だろう。
 
「‥お前か?」
 
「そうとも、ちょろい奴らだったぜ」
 
ナースコールを押す暇も与えずにな と男は両手をズボンのポケットに入れたまま嘯く。
 
「‥貴様」
 
黒いスウェットの男は 歯軋りする仁科の全身を眺める。
 
「それにしても、汚ねぇ身体してやがるなぁ オイ」
 
じゃっっ  と 掛け声と共に仁科の蹴りが飛んだ。
速度 技の切れ いずれも仁科の人生最高の蹴りだった。
 
 
当たらなかった。蹴りはまるで男の顔をすり抜けたかのように、空振りした。
仁科には なにが起きたのか解からなかった。
エヴァチャイルドの少年の蹴りも、葛城ミサトの蹴りも見ることができた。避けれるかどうかはともかく、何が起きたのかは理解できた。
 
 
「虎は何故、強いと思う?」
 
その男は両手をポケットに入れたまま 一歩前に出る。
 
仁科の全身を 恐怖が支配した。
 
「ひゃぁぃっ」
 
さらに近寄ろうとする男に蹴りを放つ。
恐怖に駆られて繰り出した今度の蹴りは、お世辞にも切れが良いとは言えなかった。
 
 
 
 
 
 
 
倒れ伏した仁科の頭部から、どす黒い血が不燃性リノリウムの床にこぼれていく。
 
「虎は虎だから強ぇえのさ。生まれつき弱い癖に、寝る間も惜しんでシコシコ自分の身体虐めてガンバってきたお前さんじゃ、土台無理なんだよ」
 
血溜まりに浮かぶ敗者へ嘯く男の背後に、地味な背広姿の若い男が現われた。
謎の男、ニル・ライアーである。
加持リョウジですら恐れる凄腕中の凄腕。SEELE配下でも屈指のエージェントだ。
 
「‥あいかわらず気味の悪い奴だな」
 
黒いスウェットの男にも、ライアーの気配は掴み難いらしい。
 
「困った人だ。もう少し我慢はできないのですか?」
 
ライアーの眼鏡の縁が、光源もないのにきらりと光る。
 
黒いスウェットの男‥便宜上『虎』とでもしておこう‥は、ライアーの新たな雇い主であるSEELEが『G』に対抗すべく集めた刺客の一人である。
 
「我慢してるぜ? 雑魚でな」
 
『虎』は一種の異常者である。定期的に人を傷付け殺さないと気がすまないのだ。
特に格闘家は格好の獲物だ。
鍛え上げられた身体・磨き上げられた技・己の強さへの自負。 
それらが完膚なきまでに打ち砕かれたときの、格闘家たちの怯えた目を見ることが『虎』のなによりの喜びだった。
 
『虎』は武術や格闘技の類を一切使わない。学ぼうと思ったことすらない。
そんなものは所詮弱者の小知恵であり、強者との差を縮めんとする空しい努力の産物でしかない。
産まれつきの強者である『虎』には要らないものなのだ。
 
ボクサー・レスラー・力士といった格闘家たち、警官やヤクザ・蛇頭(中国マフィア)等の暴力のプロ、果ては任務行動中のSWAT隊員や軍の特殊部隊員まで 全て彼の拳の前にひれ伏してきたのだ。
 
ただ一つの例外である、目の前にいる不気味な優男以外は。
 
 
               ・・・・・
 
芦ノ湖湖畔 港湾施設 第一揚水式船舶エレベータ
 
 
特殊鋼製の分厚い水門が開かれ、中からタグボートに引かれた貨物船が姿を表した。
貨物船はそのまま港に入り接舷する。排水量は一万トン弱。 サイズ的には至って普通だが、積荷は普通ではない。
 
その積荷‥甲板に積まれた全長50メートル近い棒状の物体をクレーンが慎重に吊り上げていく。
それはNERVの決戦兵器、エヴァンゲリオンの白兵戦用武器なのだ。
 
世界各地のNERV支部とその関連企業が作り出し、送り出したEVA用装備が、遂に本部に到着したのである。
 
 
 
第三新東京は、要塞であると同時に大都市でもある。
 
都市は勿論、戦闘待機状態にある要塞は実に大量の物資を必要とする。
武器・弾薬・燃料・補修用機材・食料・医薬品・衣類・日用品‥消耗品は言うに及ばず、家具や電気製品のような耐久消費財、車輛や重機等の支援機材まで‥
 
NERV技術部の技師が付きっきりで管理している、超兵器エヴァンゲリオンの部品である人工筋肉を詰め込んだ特殊コンテナから
とある国際公務員の自宅へ配送される、新鮮な小魚と塩と氷が発泡スチロールの容器に詰め込まれたクール宅配便のダンボール箱に至るまで 実に様々な物資が運ばれているのだ。
 
 
さて、消費地への輸送手段を経路で大別すれば 陸・海・空 となる。
何れも一長一短ではあるが、第三新東京市においては運送の量的中心は水路(海運)にある。
 
第三新東京向けの海運貨物は 一部を除いて新小田原港もしくは新横須賀軍港などで積み替えを行い、最大で一万トンクラスの船舶に載せて地下運河を通り、芦ノ湖の真下に到着。その後船舶専門のエレベータによって湖面と同じ高さまで持ちあげられるのである。
 
最深部でも深度は100メートル以下にとどまるとはいえ、地下に大型船舶が通れるほどの運河を通すとゆう、この既知外そのものな工事の計画及び実行は無論のこと『G』によるものである。
この成功に気を良くした『G』は、パナマ運河付近にも地下運河を通す工事を行っている。
 
 
 
 
 
 
NERV本部 作戦部 作戦主任の部屋
 
 
「‥大気状態で相当減退するからなぁ‥半分は市街、半分は外輪山に設置するとして、使徒の反撃を受ければどのみち持たないから装甲板は要らないな、鉄筋コンクリートで充分だ。普段は開口部を鋼板スライド扉で塞いでおいて‥と」
 
大柄で逞しい体躯の上に爽やかな笑顔を乗せた青年士官‥この部屋の主である日向マコト二尉は自分の席について端末を弄っていた。鼻歌の一つも出そうなほどに上機嫌である。
 
「‥楽しそうだな」
 
作戦主任の個室にやってきた長髪の職員が、作戦主任の椅子の後に立つ。
 
「うん。楽しい」
 
画面に向かい簡易レーザー砲台の仕様概念図を書いている日向の表情は 菓子を口いっぱいに頬ばった幼児のそれに等しい。
 
作戦部長代行の赤木博士が実務を作戦主任へ丸投げしている現在の作戦部は、日向の天下である。
第三新東京要塞の戦力は、単純計算で一個軍団(増強二個師団)に匹敵する。
これを一介の尉官が アレを右にコレを左に と己が采配どおりに動かせるのだ。喜悦に震えなければそいつは参謀ではあるまい。
 
 
「で、何の用なんだ?」
 
青葉は作戦主任が覗きこんでいる画面を指差した。
 
「それだよ。簡易砲台を量産するのは解かるんだが‥肝心のレーザー砲の生産が間に合わない って兵站部から文句が来てるぞ」
 
第四使徒戦において決定打となったレーザー兵器はその有効性を認められ量産されているが、簡易砲台の建築計画は量産が間に合わないほどの急ペースなのだ。
 
「良いんだよ、とりあえず入れ物だけでも造っておけば」
 
「おいおい‥予算はともかく時間は有限なんだぞ。設営班の労力だって」
 
「中身が空だから文句が来るんだろ。余り物の機関砲と火器管制システムでも詰めとけばいい」
 
「使徒に効かない火器を詰めてどうするんだ?」
 
「文句が来たら『これまで襲来した使徒が巨大生物型であったからといって、以後襲来する使徒が全て巨大生物型であるとは限らない。例えば群体生物型の使徒が襲来する可能性は否定できない。第三新東京要塞の兵装が対巨大生物戦へと過度に特化すると戦術の柔軟性を失う危険性がある』 とでも答えておくさ」
 
昨日の戦に備えてしまうのが人の性である。その結果として明日の敵に対応できなくなることも、まま有る。
 
使徒に常識は通用しない。検証を重ねてはいるが戦訓も充分とは言えない。
となれば『あらゆる可能性』を考慮せざるを得なくなり‥普通なら検討の余地を得られぬであろう仮定であっても論議の対象となる。
 
つまりどんな破天荒な案であっても「非常識」の一言で切って捨てることができない。
先代の作戦部長は自説以外の全てを切って捨てていたが、その後『精神錯乱』を起こし強制送還されてしまっている。
 
 
実を言うと 日向が第三新東京の至るところに小型無人砲台を造ろうとしているのは群体型使徒への備えとゆうよりは、対歩兵戦闘を意識しているのである。
現在の第三新東京要塞の軍備は使徒迎撃の為に偏ったものである。使徒以外の敵が攻めてくれば苦戦は免れない。
日向はその偏りをできる限り(使徒戦への影響が出ない範囲でのみ)是正するつもりであった。
 
参謀が個人の意思で軍を動かせる‥とゆう、軍事上の悪夢と言うほかはない事態がNERV本部に顕現している。
無論のこと 全ての夢と同じく日向の天下は長く続かない。
新たな作戦部長が赴任するまでの あと数日か十数日の間しか続かない。
 
それでも‥いや、時間が限られているからこそ、この有能で勤勉で誠実で善良な‥つまりは能力でも人格でもない部分で参謀の道を踏み外した男は 己が信ずる道を突き進むつもりであった。
 
 
 
               ・・・・・
 
 
中部アトラス山脈 山中 ‥の地下(通称アトラス要塞)
 
 
セカンド・インパクト後の気候変動により寒冷化の波が押し寄せた北部アフリカ。
その最高部であるアトラス山脈は、常に雪で覆われている。
 
ある説話に拠れば、この山脈は 神に反抗した懲罰として天を未来永劫支え続ける苦役に繋がれた巨人アトラス ‥の変化した姿であるとゆう。
 
現在、その地下深くには広大な施設が存在する。
岩盤を刳り貫いて築かれた 鋼鉄の要塞が。
その施設の表向きの姿はSEELEの、いや欧州共同体軍の核弾頭貯蔵基地である。
分裂弾・融合弾・完全融合弾(N2兵器)の各種弾頭百発以上を保管もとい待機させてあり、扱う物がものだけに極めて厳重な警備が敷かれている。
 
中部アトラスの某所に存在する地下施設。欧州共同体軍の核弾頭貯蔵庫の更に下には 貯蔵施設から穿たれた縦坑が、巨大な地下空洞へと通じている。
その空洞は 箱根地下に存在する地下大空洞(ジオフロント)と同じく、10万年前に滅びた古代文明の遺跡である。
 
 
地下空洞の底にはNERV本部とほぼ等しい規模の基地が造られている。いや、既に数機の量産型エヴァンゲリオンが稼動状態にあることを考えれば、戦力的には本部よりも遥かに充実していると言えるだろう。
 
 
さて 機体があればそれに乗り込むべきパイロットが要るわけで、当然ながらこの地下施設にもエヴァパイロットの訓練施設とパイロット候補生が存在する。
今この瞬間も 候補生たちは訓練を受けているのである。
 
では、その訓練風景の一例を覗いてみることにしよう。
 
 
 
 
 
 
「どうしたのかね、撃ちたまえ」
 
「で、できません」
 
震える銃口は 一応目標へと向けられてはいるものの、発砲したところで目標には当たりそうもない。
 
 
教官役を務める将校は 年齢は40過ぎであろうと思われる。
背はさほど高くはないが姿勢はすこぶる良い。
口元に髭を蓄え、左目を古風な黒革の眼帯で隠している。
容貌は美形には程遠く、良く言えば男らしい(悪く言えばむさくるしい)印象を与える。
 
「どうしたノルディス候補生。哀れな背教者に慈悲の一撃を与えてやらんのか?」
 
 
生徒の方はとゆうと、14歳前後の色白で線の細い少年である。見ようによっては美少年と言えないこともない。
 
彼が持つ拳銃の先には 鎖で後ろ手に繋がれた兇悪な目付きの中年男‥ 標的である死刑囚が吊るされていた。
 
 
死刑囚が鎖で繋がれた壁はゴム状の物質で覆われており 外れた銃弾が跳ねることはなく、また囚人が壁に頭を打ち付けてもそう簡単には死ねない造りになっている。
もちろん鎖の長さが足りないので床に頭を打ち付けることはできない。
コンクリート剥き出しの床は緩くVの字型に傾斜していて、掃除がしやすいように出来ている。
部屋の隅に置かれた薄汚れたバケツとデッキブラシが、この訓練場がかなり前から使われていることを暗黙のうちに主張していた。
 
 
 
人を殺す とゆうことは、ある意味難しいものである。
 
警察の統計として殺人事件の動機は 一に金銭二に痴情、三四がなくて五に怨恨  ‥であると言われる。
 
人生に追い詰められていたり、激情に駆られていたり、はたまた時間をかけて積もり積もったどろどろとしたモノがあるのならともかく、出会ったばかりの他人を即座に殺傷することは‥
その人物が余程の危険地帯で産まれ育ったか、さもなくば異常者ででもない限り難しい。
 
初陣で、敵に向かって発砲できる兵もいればできない兵もいる。
これは思想訓練(洗脳とも言う)でかなりの改善が見込めるが、それでも引き金を引けぬ者は居る。
時代や戦場にもよるが、ある統計では30%から70%に及ぶ新兵が、敵兵への発砲に失敗するとゆう。
 
これは、只の兵隊であっても問題ではあるが‥ もしも巨大ロボットのパイロットが「引き金を引けない兵」であったとしたら‥ 大変なことになる。
 
超兵器とか究極兵器とか呼ばれるだけのことは有り、エヴァンゲリオンはこれまでの兵器史上に無かった要素を持つ。
つまりは時と場合によっては一国の運命すら左右する、戦略単位級の戦力でありながら 操縦者である思春期の少年少女ただ一人の意思によって制御される とゆう要素だ。
 
故に 引き金を引くべき時に引けるパイロットを養成するために、アトラス要塞地下のエヴァ操縦員訓練施設には 死刑囚を標的とした実弾射撃訓練を行う部屋が存在するのである。
 
 
 
 
「このような訓練は無用です」
 
脂汗を流しつつ銃を構えている線の細い少年の傍らに 乗馬服姿の少女が立った。
 
「エリィ‥」
 
その娘の名は エリザベータ・ローレンツ。凛々しい雰囲気を纏う栗毛の少女である。
エリザベータは訓練生ではなく、正規の操縦者だ。
 
「ほほう、無用とは何故 ですかな」
 
教官にとっても、正規パイロットであるエリザベータはノルディスや彼の後ろに並んで順番を待っている候補生たちとは別格の存在だ。故に言葉遣いも違ってくる。
 
「ノルディス様は真の勇気をお持ちです。それ故に、縛られた者を撃つような卑怯な振るまいはできないのです」
 
教官は目を剥いた。
 
「卑怯。卑怯と仰られるか」
 
「他に何と言えと。縛られた者を撃ち殺すのに必要なものは、胆力ではありません」
 
堂々と答える栗毛の少女の背中に 嘲りの込められた笑い声が届いた。
 
「ははっ 勇気が惰弱の言い訳になるとはな。家名が泣くぞ」
 
エリザベータと教官の前に出てきたのは、ノルディス候補生とは対照的に大柄で骨太な体躯の少年である。これまた対照的な男くさい顔に嘲笑を浮かべている。
名前はギュンター。彼もエヴァパイロット候補生の一人だ。
 
「貸せ。俺が見本を見せてやろう」
 
ギュンターはノルディスが持つ銃を取り上げ、スライドを引いて実包が装填してあることを確かめた。
この『射撃訓練』は候補生一人につき一回のみ。弾も一発しか使えない。銃には一発しか入っていないのだ。
 
死刑囚に近寄り 銃を構えて狙いをつける。
『生きている人間を撃つ』ことがこの訓練の主眼であるので、必ずしも一撃で殺す必要はない。
だが、できれば致命傷を与えてやりたかった。
 
後に居る、まだ顔色が悪いままの線の細い少年に 固定標的(ターゲット)への射撃訓練で完敗した彼にとっては これは格好の意趣返しなのだから。
 
 
致命傷にはなっても即死しにくい腹部や、狙い難い頭部は狙わない。
狙うのは死刑囚の胸‥左右の鎖骨と鳩尾を結んだ逆三角形の内側である。そこは心臓と肺と気道、太く重要な血管が密集した急所なのだ。
 
銃口を見せびらかすように、じっくりと狙う。
いざ撃つ前になって、ギュンターはノルディスがどんな顔をしているのかが気になった。
ちらりと斜め後へと視線を送る。腰抜けが震えている姿を見たくなったのだ。
 
それは死刑囚にとって充分過ぎるほどの隙だった。
 
壁に繋がれたまま、死刑囚は跳んだ。二本の脚でギュンターの首を挟み、捻って倒れこむ。
この地下要塞で脱獄したところで逃げきれる訳もない。ならばせめて一人だけでも地獄へ道連れにするまでである。
 
だが彼にとっては残念極まりないことに、地獄へ向かったのは一人だけだった。
彼が獲物の頚椎をへし折るニ瞬ほど前に、細い人影が彼と彼の脚に挟まれた少年に跳びついて回転を止めたからだ。
 
その邪魔者は 混乱して床に倒れこみながら暴れるギュンターの手から銃を奪い取り、折れぬならば絞めるまで‥と脚を大柄な候補生の首に巻きつけ渾身の力を込めて締め上げんとした死刑囚の顔面に向けて 引き金を引いた。
 
銃声と共に放たれた9ミリ軍用弾は 顔面の薄い骨を砕いてその奥の組織を貫いた。
脳幹を砕かれた死刑囚は一撃で即死する。
 
 
 
標的の死を見届けた教官は懐から抜いた銃を元に戻した。まだ固まったままの候補生たちに視線を送る。
 
「さて、この事態から候補生諸君らは人を撃つにあたり最も重要なことが何であるのかを知ることができたと思う。くれぐれも忘れぬよう務められよ」
 
戦いにおいて最も重要なことは『どう殺すか』ではない。『殺されない』ことである。
 
 
教官は、使用済み訓練用標的と標的が洩らした大小便にまみれたまま床に転がっている大柄な候補生の傍らに立つ
彼が抜くよりも早く動いてみせた線の細い少年に向かい、自分なりの敬意を込めて奥の扉を指し示した。
 
「合格だ、ノルディス候補生。次の階梯へ行って良し」
 
 
               ・・・・・
 
 
第三新東京市 市立第一中学校正門前
 
 
一中の生徒たちが三々五々と帰宅する正門横で、三人の小学生が人を待っていた。
彼女たちの名前は 鈴原ハルナ 峯風ユカリ 北上ミチル とゆう。 
 
時間割の都合上、彼女たちが通う小学校は一中より半時間ほど早く授業が終わる。 
その時間差を利用すれば一中生徒を討ち洩らすことなく待ち伏せできる。
待つ側の得物は レースに似た包装紙に包まれた香ばしい物体‥焼きたてのクッキーだ。
 
 
「う〜 ケン兄ちゃんは格好良いもん、私知ってるもん」
 
「「はいはい」」
 
もう一人の兄とも思う少年との関係を 餌付け作業 とか 小母様に負けてられない とか ユカリとミチルの二人にからかわれるのはいつものことだが‥
どうせ競争相手はいないから安心 とか 蓼食う虫もなんとか とか好き放題言われて、思わず反論してしまったハルナだった。  
 
 
 
さて、ここで一つ断わっておきたいのだが 2015年の日本では‥
子供たちが調理実習の成果を身近な人物や、あまり身近でもない人物に持って来る とゆう行動はごくありふれたものなのである。
 
何故かといえば社会事情。
 
人々はセカンドインパクト後の世界を生きる為に懸命に働き、その結果として共働きがあたりまえとなる。
当然ながら、家事の負担は主婦以外の人物に割り振られることになる。
そんな社会の事情から 炊事洗濯裁縫清掃の類が出来ない人間は半端者 とゆう風潮が出来あがる。
毎度のことで、家庭教育の不備は学校へと押しつけられ‥ 結果としてセカンドインパクト後の日本では小学3年ぐらいから家庭科の授業が有るのだ。
ちなみに義務教育の間は、時間割は男女ともに同じになっている。
 
『男子厨房に入らず』 などとゆうカビどころか苔の生えそうなモットーを掲げる鈴原トウジでも、一応の炊事はできるのである。
普段は妹に任せているだけだ。
 
 
と、ゆうわけで この日、鈴原ハルナが家庭科の時間に作ったクッキーを
兄とその親友に食べさせようと校門前で待っていることは、特に注目されるような事件ではない。
ない筈だが、それはそれで憶測を呼んだり呼ばなかったりする。
 
 
 
「なに門の前で騒いどるんや」
 
待たれる側‥ハルナの兄とその親友が現れた。
その後には二人の幼なじみである おさげの少女もいたりする。
 
 
 
 
 
そのころ綾波レイは 一中の校内をさまよっていた。
仲直り‥とゆうか赤木博士の接近許可もあり、パイロット同士親睦を深めるために一緒に帰ろう と碇シンジを探しているのだが‥
この前までは、鬱陶しいまでに近くに居た少年の姿が見当たらないのだ。
 
 
シンジを探している最中に会った美浜チヨらB組の生徒たちから 珍しい動物を見にいかないか と誘われたが、放課後に用件を入れてあるので断わる。
 
探しまわっても シンジは見つからない。
そうこうしているうちに約束の時間が迫る。
結局一人で下校することにしたレイは、校門をくぐったところで見なれた人々が興味深い題材を元に立ち話にをしている事に気付いた。
 
 
 
 
 
「ちぃと固いが これはこれでなかなか(ボリボリ)」
 
「鈴原、行儀悪いわよ!」
 
「お兄ちゃん‥」
 
道端で焼き菓子の包みに手を突っ込み貪り食らう兄を、妹は冷たい目で見る。
 
「おいおい、一人締めはなしだぜ」
 
ケンスケはその横から手を出して一枚とり、齧る。
 
「ん。 確かにいける(ぽりぽり)」
 
 
 
 
「‥相田君」
 
不意に背後から声を掛けられて ケンスケは跳び上がりかけた。
何時の間にやら、レイが彼の背後に立っている。
 
「な、なんだよ?」
 
動揺を抑えつつレイに向き直る。
 
「貴方は今、嬉しいの?」
 
「え?  あぁ‥ そりゃあ嬉しいさ」
 
「‥本当に?」
 
敵意も悪意も一欠けらも含んでいない ただ真っ直ぐに見つめてくる紅い瞳の持つ力に、戦自工作員とゆう裏の顔を持つ少年は気圧されてしまう。
 
「当たり前だろ、学校まで持ってきてくれたんだよ? これで喜ばない奴は人でなしだよ」
 
「‥‥そう。嬉しいのね」
 
ケンスケの返答に納得いったのか レイは踵を返して、足早に去っていった。
六人は呆気に取られたまま レイの背中を見送る。
 
 
「相変わらずマイペースなやっちゃのう」
 
「‥‥うん。 でも、綾波さんはあれで良いような気もするわ」
 
 
 
 
               ・・・・・
 
 
第三新東京市 郊外 美浜邸 ‥の中庭
 
 
美浜邸の中庭にはパンダがいる。
何故かは聞かないで欲しい。居るものは居るのである。
 
 
 
「ひゃー きもちイー」
 
ふかふかの毛皮の塊に抱きつく 怖いもの知らずの女子中学生。
 
 
「‥‥むふっ」
 
抱きつかれて困っている 白黒毛皮の大型肉食獣。
 
 
「すっげー パンダだよパンダ! 流石だよなチヨちゃんち!」
 
ひたすら感激している よく日焼けした女子中学生。
 
 
(ああ‥ パンダの尻尾って 白かったんだ‥)
 
感激を通り越してトリップしている 背の高い女子中学生。
 
 
 
美浜邸の中庭で三人の少女たちが 愛らしい大動物と戯れていた頃。
 
その母屋では‥美浜家の一人娘である天才少女と 複雑な事情により神秘学に詳しくなってしまった眼鏡っ娘が暗号文書の塊と格闘していた。
 
「ゲマトリア変換らしいのは判るんですけど‥」
 
「こうも量が多いとな」
 
ゲマトリア変換とはユダヤ数秘学の基本である暗号法である。
どのような技法かと言えば a=1 f=8 などのようにヘブライ文字には一つ一つに決まった数が割り振られている。ヘブライ語で書かれた文章のうち、一文ごとに含まれる文字の数を合計して出た数が同じであれば、それらの文章は入れ替え可能になる‥とゆうようなものだ。
 
有名なヨハネ黙示録の 666の数字を持つ者=サタンの化身 もゲマトリア変換による暗号であり、『サタンの化身の名前に含まれる文字に割り振られた数を合計すると666になる』とゆう意味なのである。サタンの化身の体には666の痣があるわけではない。
 
更に、ユダヤ神秘学系の暗号はゲマトリア変換だけではない。
略字の集合体に表向きの意味を与える技法や、一定の法則に従って文字列を入れ替える技法等が 偏執狂的としか言い様がない熱意でもって、少女たちが眺める『死海文書』『裏死海文書』なる謎の文書に埋め込められているのだ。
 
「チヨちゃん‥ 悪いが、これは私らでは手の出し様がないぞ」
 
「でも、この『死海文書』が『人類補完計画』を読み解く鍵なわけですし‥」
 
この『死海文書』『裏死海文書』は、先日美浜邸の郵便受けに投函された謎の文書『人類補完計画』の巻末に付録のように付いていた代物だ。
どうやら『人類補完計画』の土台となったものらしいのだが‥ 本文と異なり日本語に訳されてないのが困りものである。
 
「学校のコンピュータに解読させれば少しは速くなると思います」
 
「‥たぶん、感覚的には変らないぞ」
 
一中のホストコンピュータは型落ちの中古品とはいえ、れっきとしたスパコンである。
暗号解読プログラムを走らせればチヨたちの作業も大いに軽減されるだろうが‥暗号の根本は人間が見極めねばならない。
 
コンピュータは情報を扱うための道具であって、質問に答えてくれる魔法の鏡ではない。
そんな機械は存在しない。まあ、MAGIシリーズやその後継機として開発中のNORUN、あるいは『プロメテウス』のような例外は有るが。
 
穴に放りこむ土砂が1000トンから300トンになったところで、それから後はスコップだけで埋めたてなければならないことに変りはない。
 
はっきり言って絶望的状況だ。
 
 
 
本来、このような解読作業は専門の学者たちが集団で何年もの時間をかけて行うものである。色々な意味で只者ではない二人だが、二日や三日でどうこうできるようなものではない。
 
「ここで煮詰まっていてもしょうがない。今日はここまでにしとこう」
 
スイカでも食べて頭を冷やそう と眼鏡っ娘‥ヨミこと水原コヨミは席を立った。
 
 
 
               ・・・・・
 
 
NERV本部 エヴァチルドレン待機室 ‥の付属厨房
 
 
美浜邸の台所で 眼鏡っ娘がスイカをまな板の上に乗せていたころ。
綾波レイは待機室の隣にある厨房で ガスコンロの前に立ち、お玉を片手に真剣な表情で鍋の中身をかき混ぜていた。
 
部屋一杯に 独特の甘い香りが満ちている。その大元である鍋の中身は 白いどろどろの液体である。
そう レイは甘酒を作っているのだ。
甘酒といっても もち米と麹で作る本格的なものではなく、酒粕を湯で溶いて砂糖と少量の塩を加え沸かしたものである。
手抜きかもしれないが、良い材料を使い手順を守れば誰でも簡単に美味しく作れるのは良いことであろう。
 
「んじゃ、そろそろ火を止めてみよっか〜♪」
 
背後で見守っていたミサトの指示に従い、レイはガスを切る。
 
 
レイは ミサトの身体から柔らかく温かい波動が、鍋に向けられているのを感じ取っていた。
それは ごく微弱な、内向きのATフィールド。
ミサトの放つATフィールドが鍋の中身に影響を与えて、甘酒の分子やもう少し大きいレベルの構造に微妙な変化を起こさせているのだ。
これこそが 葛城マジックと称される調理技術の秘密である。
 
 
 
 
ATフィールド。 それは無限の可能性。
 
ミサトのATフィールドはあまりにも弱く、防壁としては使えないがそれでも使いこなせば大きな効果がある。
レイはその特異な体質故にATフィールドの制御力に関しては、一般的なエヴァチャイルドを遥かに越えた素質を持っている。
 
 
レイはシンジのようには闘えない。
ならば、レイはシンジに出来ないことをすれば良い。
 
第四使徒戦でなにも出来なかったことの反動から、偏った訓練カリキュラムを組んだレイをミサトが上記のような理屈で説得できたのは、この葛城マジック有ってのことだ。
 
それが幸福なのか不幸なのかは別として、エヴァパイロットとしてのレイにはシンジやアスカにはない絶対的な優越性がある。
ただし、安全に制御できるとして の話だ。
レイの持つ優越性、葛城ミサトをして『シンジを軽々と追い越せる』と言わしめた素養も、制御できなくては意味がない。
 
と、ゆうわけで レイはあれから毎朝毎晩 ミサトから料理を通じてATフィールドの実演講習を、保安部の教官たちからは銃器の訓練を受けている。
ATフィールドの微妙な操作と調節は、自己制御の訓練に最適だからだ。
そして万能の力であるATフィールドの制御力はエヴァパイロットとしての能力と直結している。
 
 
何故ゆえに甘酒なのかとゆうと‥ レイにも簡単かつ大量に作れて万人に好まれ、しかも健康に悪くないもの ‥となると自然と限られてくるからだ。
 
食料・料理を食べずに捨てるなどとゆうことは、セカンドインパクト後の食料難の記憶も生々しい2015年の日本では許されない。
作ったからには食べて貰わねばならないが、幸いなことに現在のNERV本部には、レイの手料理なら少々味に難が有っても喜んで食べる者達がグロス単位で存在するのだった。
 
 
 
 
 
続く
 

 
 
この物語は USO氏 きのとはじめ氏 T.C様 【ラグナロック】様 戦艦大和様 コロ介様 のご協力を受けて完成致しました。感謝致します。


読んだ後は是非感想を!! 貴方の一言が作者を育て、また奮起させます

 

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